5G関連銘柄とは?「注目9銘柄」の株価動向をチャート付きで解説!

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

次世代通信規格5G(ファイブジー)の運用が、日本でも2020年3月から本格的に始まっています。

5G関連銘柄は株式市場でも多くの投資家から注目されるテーマ株です。

日本株の5G関連銘柄としては、5Gの柱となる携帯キャリア株、5G向け計測器メーカー、5G基地局の工事会社などが挙げられますが、特に計測器などの5G向け精密機器を手掛けている銘柄の上昇が目立ちます。

今回は、代表的な5G関連銘柄9銘柄の株価動向をチャート付きで解説していきます。

この記事を読んで得られること
  • 5Gとは何かがわかる
  • 5G関連銘柄の特徴がわかる
  • 5G関連銘柄9銘柄の値動きを実際のチャートで見ることができる

5G関連銘柄とは?

日本でも2020年3月から運用が始まった5G(ファイブジー)について改めて理解しておいた上で、5G関連銘柄の特徴について抑えておきましょう。

5G(ファイブジー)とは?

5G(ファイブジー)とは「5th Generation」の略語であり、携帯電話の第4世代通信方式である「4G LTE/LTE-Advanced」の次世代通信規格です。

5Gは4Gと比べて1,000倍以上の高速大容量通信をすることができ、低遅延化や多数同時接続なども可能となります。

高速大容量通信、高信頼低遅延通信、多数同時接続通信の3つを可能とする5Gは、2020年代以降のIoT社会を実現するための核となる通信インフラです。

ただ、5Gにはメリットも多い一方で、電波が届きにくく、5G基地局を狭い感覚で設置しなければいけないというデメリットを抱えていることも確かです。

アメリカや韓国では2019年から5Gの運用が始まりましたが、日本でも2020年3月から携帯キャリア各社が5Gサービスを開始しています。

特に、2019年は「5G元年」と位置付けられ、株式市場においても最も注目されたテーマ株の一つとなりました。

5G関連銘柄の特徴について

5Gは、株式市場においても投資家から注目されているテーマ株の一つとなっていますが、日本株と5Gについてはやや注意が必要な点があります。

残念ながら、日本企業には、アメリカのベライゾンや中国のファーウェイのような5Gの世界的企業は皆無であるというのが現実です。

しかし、だからといって、日本株で5G関連銘柄が買われていないということでは決してなく、日本株の中でも多くの5G関連銘柄が上昇しています。

ただ、経済ニュースなどで期待されるほどには、日本株に多くの5G関連銘柄があるわけではなく、一部の銘柄に資金が集中している傾向があります。

日本株で5G関連銘柄として注目しておくべき銘柄を大別すると、携帯キャリア、5G向け計測器メーカー、5G基地局の工事会社の3つに分けられます。

また、5Gは投資家から注目されているテーマであるため、新しく5G事業を始めることを発表した銘柄が急騰することも少なくありません。

携帯キャリア株

2020年3月から5Gサービスを開始した携帯キャリア3社は、5G関連銘柄としても抑えておくべき銘柄です。

携帯キャリア株は、株価下落リスクが小さく、配当金利回りが大きいというディフェンシブ高配当株でもあるため、5Gを抜きにしても長期投資におすすめの銘柄でもあります。

【9437】NTTドコモ

携帯キャリア最大手の【9437】NTTドコモは、2020年3月から5Gサービスを開始しています。

【9437】NTTドコモの月足チャート

NTTドコモの株価は、ほぼ右肩上がりの上昇トレンドを描いています。NTTドコモが5Gサービスを開始した2020年3月はコロナショックの真只中でしたが、年初来高値を更新していました(上図赤丸の大陽線)。

成長株でありながら、配当利回りは4.11%(2020年6月16日終値時点)の高利回りとなっています。

【9433】KDDI

同じく携帯キャリアの【9433】KDDIも、2020年3月から5Gサービスの提供を開始しています。

【9433】KDDIの月足チャート

KDDIの株価は、2015年から5年間以上に渡って高値圏で横ばいとなっています。ただ、KDDIの配当利回りは3.74%(2020年6月16日終値時点)となっているため、仮に5年間保有していたら配当金だけで+20%近くの利益となっていたことになります。

2020年のコロナショックでも下げておらず、5Gを抜きにしても安定した銘柄です。

【9434】ソフトバンク

携帯キャリアの一角である【9434】ソフトバンクも、2020年3月から都市部を中心に5Gサービスを開始しています。

【9434】ソフトバンクの月足チャート

ソフトバンク株は、2018年12月のIPOでは公募価格割れとなったものの、上場後は携帯キャリア株らしく安定した値動きとなっています。配当利回りは6.28%(2020年6月16日終値時点)という驚異的な数字となっており、高配当株投資においては外せない銘柄です。

なお、携帯会社のソフトバンクと、親会社で投資会社のソフトバンクグループは別の銘柄であるため注意しておきましょう。

携帯キャリアは5G関連銘柄の中心となる銘柄ではありますが、株式市場においては5G関連銘柄というよりは、その安定性で買われている部分が大きくなっていると見られます。

5G向け計測器メーカー

5G関連銘柄として積極的に買われている5G向け計測器メーカーの株価動向を見ていきましょう。

【6754】アンリツ

【6754】アンリツは、携帯基地局向けの計測器メーカー大手で、近年は5G向け計測機器に注力していることで知られます。

【6754】アンリツの月足チャート

アンリツの株価は、マーケットの5Gへの注目度の高さを示していると言ってよいでしょう。安値を付けた2016年11月(上図赤丸)から3年以上に渡って、一貫して買われ続けていることが分かります。

日本株を代表する5G関連銘柄として、今後も必ず抑えておきましょう。

【6778】アルチザネットワークス

通信計測器メーカーの【6778】アルチザネットワークスも5G向け計測器に注力しており、アンリツと並んで注目される5G関連銘柄です。

【6778】アルチザネットワークスの月足チャート

アルチザネットワークスの株価は、長期で見ると横ばいに見えますが、2017年末(上図赤丸)から2020年(上図青丸)に掛けて緩やかに上昇していることが分かります。チャート上では緩やかですが、この期間には約600円から1,500円まで上がっており、2.5倍もの上昇率です。

同社は東証二部銘柄であるため、東証一部のアンリツと比べると、どうしても流入資金が小さくなってしまうものの、5G関連銘柄として買われていることは間違いありません。

5G基地局工事会社

5Gインフラを整備するには基地局が必要となります。5G基地局工事を手掛けている銘柄を抑えておきましょう。

【1721】コムシスホールディングス

【1721】コムシスホールディングスは電気通信工事最大手で、近年は5G向け基地局に注力しています。

【1721】コムシスホールディングスの月足チャート

コムシスホールディングスの株価は、長期的には上げていますが、5Gが注目されている直近2年間では横ばいとなっています。

5G事業を手掛けているのは間違いありませんが、5G関連銘柄として積極的に買われているとは言えません。

【1951】協和エクシオ

【1951】協和エクシオは、5Gを支えるネットワーク構築工事などを手掛ける電機通信工事大手です。

【1951】協和エクシオの月足チャート

協和エクシオの株価は、コムシスホールディングスとほぼ同じ推移となっています。直近では、5G関連銘柄として積極的に買われているとは言えません。

5G基地局を手掛ける電気通信工事会社は、5G関連銘柄に位置付けられることは間違いありませんが、5G向け計測器メーカーほどには買われていません。

その他の5G関連銘柄

5Gは投資家から注目されているテーマであるため、新しく5G事業を始めることを発表するなどした銘柄が急騰することも少なくありません。

これまで見てきたテーマ以外で買われている5G関連銘柄を見ていきましょう。

【9424】日本通信

【9424】日本通信は、格安SIMことMVNOのパイオニア企業として知られています。

同社は、2019年にアメリカで5G事業を開始することを発表し、マーケットで大きな話題となりました。

【9424】日本通信の月足チャート

日本通信の株価は、2014年にMVNO事業がマーケットで注目されたときは1,200円超えの水準にまで急騰していましたが、その後はMVNO事業の低迷を受けて100円台にまで暴落・低迷しています。

暴騰・暴落している長期チャートのため、やや分かりづらいですが、2019年5月にアメリカで5G事業を開始することを発表したことで、株価は2ヶ月で113円から290円まで上昇し(上図赤丸)、大きな出来高を伴う急騰となりました(上図青丸)。

【6838】多摩川ホールディングス

【6838】多摩川ホールディングスは、「5G元年」となった2019年に最も大きく上昇した5G関連銘柄です。

同社は、5Gなどの無線機器に必要な高周波回路素子製品の生産・販売を行っています。

【6838】多摩川ホールディングスの月足チャート

多摩川ホールディングスの株価は、2019年初めに付けていた477円(上図赤丸)から、2020年1月には4,480円まで上昇し、この1年で最大9.39倍の上昇となっています。

5G元年に最も注目された5G関連銘柄と言って間違いありません。

まとめ

今回は、代表的な5G関連銘柄9銘柄の株価動向をチャート付きで解説してきました。

残念ながら、日本株にはアメリカのベライゾンや中国のファーウェイといった世界的な5G関連銘柄はないというのが現実です。

ただ、日本市場でも5G関連銘柄が買われていることは確かであり、5G向け計測機器を手掛ける【6754】アンリツや【6778】アルチザネットワークス、5G向け高周波回路素子製品を手掛ける【6838】多摩川ホールディングスといった5G向け部品メーカーが積極的に買われています。

ただ、投資初心者向けには、5G関連銘柄としては、低リスク高配当の携帯キャリア株を手掛けるのが無難かと思われます。

携帯キャリア株は、その事業規模からして5Gを材料に特別大きく買われることは期待できませんが、内需株としての安定性は抜群であり、高配当株としても期待できます。

5Gは2020年以降のIoT社会の基盤インフラになることは間違いないため、今後も5G関連ニュースや5G事業に新規参入する銘柄の動向などは抑えておくようにしましょう。

紫垣 英昭