投資信託で知っておきたい節税方法とは?

執筆者
プロフィール写真

紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

将来の資産形成のために、投資信託を始めようと考えている方も多いことでしょう。 投資信託は、分散投資によってリスクが低いことや、少額から始められることから投資初心者の方におすすめです。 しかし、投資信託で生じた利益には、税金がかかってくることをご存知でしょうか。 利益が出たときには税金がかかるため、投資信託における税金をよく理解していないと、損をしてしまう可能性があるかもしれません。 そこで本記事では、投資信託における節税方法を紹介します。 投資信託に関する税金の知識を身につけて、節税しながら投資信託を始めましょう。

この記事を読んで得られること
  • 投資信託における税金の仕組みがわかる
  • 節税制度3つを知ることができる
  • 制度以外で税金を抑える方法を知ることができる

投資信託で税金がかかるタイミング

まず、投資信託によって生じる税金について詳しく解説していきます。 税金がかかるタイミングや税率を理解して、いつ、どれくらいの税金がかかってくるのか押さえておきましょう。

分配金(インカムゲイン)

投資信託を運用したことによって利益が生じた場合には、投資家に利益の一部が還元されます。 これを分配金(インカムゲイン)といい、分配金が生じたときに税金がかかってきます。 投資家に還元される分配金に課される税率は、20.315%です。

売買差益(キャピタルゲイン)

自身が保有して運用している投資信託を販売会社に売り、買い取ってもらった際に利益が生じます。 この利益を売買差益(キャピタルゲイン)といい、利益に対して税金が課されます。 売買差益は売却したときの全額が、課税対象となるわけではありません。 課税対象となる範囲は、購入したときの価格よりも、売却したときの価格が上回った部分の利益にかかります。売買差益の税率は、分配金と同様に20.315%です。

解約金・償還差益

投資信託には、運用期間が決まっている商品があります。 これらの商品を保有しているときに、運用期間を待たずに、途中で解約した場合に支払われるものが解約金です。 また、運用期間の満期まで保有していた場合には、償還差益が支払われます。 どちらとも投資信託の契約が終了したときに受け取れる利益です。 損失が生じた場合には、課税対象とはなりませんが、利益が生じた場合にはどちらとも課税対象となります。 課税される税率は、解約金・償還差益ともに20.315%です。

投資信託の節税制度

投資信託では、利益が生じたときに税金がかかることをお伝えしました。 このように税金が毎回、かかってしまうとせっかくの利益も少なくなってしまいます。 そこでここでは、投資信託を行なう際に知っておきたい節税制度について紹介しましょう。 節税制度を上手に使うことで、税金を軽減してお得に投資信託ができるようになります。

NISA

NISAは2014年に開始された、個人の投資家が税制で優遇される制度です。日本に住んでいる20歳以上の方であれば、誰でも利用できます。 制度の内容は、毎年120万円の非課税枠が設定され、その非課税枠内であれば、株式や投資信託の利益が非課税となる制度です。 非課税となる利益は、分配金や配当金、売却差益が対象となります。 NISAを利用して、非課税で保有できる期間は最長5年間です。 また、NISAには、0歳~19歳を対象にしたジュニアNISAといわれる制度もあります。 ジュニアNISAは、NISAとは非課税枠が異なり、毎年80万円の非課税枠が設定されます。 その非課税枠内であれば、非課税で運用可能です。

つみたてNISA

つみたてNISAは2018年に開始された個人の投資家が、少額から長期間積み立てながら、分散投資を行なうための支援をする制度です。 NISAと同様に、日本に住んでいる20歳以上の方が対象となります。 非課税枠はNISAよりも少額の毎年40万円です。 ただし、非課税期間は最長20年となっているので、長期間運用を目的とした投資におすすめの制度といえるでしょう。

iDeCo

iDeCoは正式名称を「個人型確定拠出年金」といい、老後の資金を作るための私的年金制度です。 個人で掛け金を運用して、将来の資産を作ることを目的としており、iDeCoの掛け金は全額、所得控除されます。 また、運用で生じた利益も非課税になったり、受け取るときに税制が優遇されたりするため、節税効果が高い制度です。

節税制度以外の投資信託の節税ポイント

投資信託に関する節税制度について紹介しました。 紹介した節税制度を上手に活用すれば、税金を抑えて投資信託を行なえるでしょう。 また、投資信託では節税制度以外にも、税金を抑える節税ポイントがあります。 ここでは、より投資信託の節税効果を高められる節税ポイントを詳しく解説しましょう。

長期間の運用を行なう

1つ目の節税ポイントは、長期間の運用を行なうことです。 投資信託で生じる税金は、分配金や売買差益など、利益が生じたときにかかります。 つまり、短期間で頻繁に利益を決定してしまうと、そのたびに税金がかかってしまうのです。 また、投資信託では売買時に手数料がかかるため、頻繁な売買は税金に加えて、余計なコストとなってしまいます。 そのため、投資信託で節税効果を得たいのであれば、なるべく長期間の運用を行なうとよいでしょう。

分配金や配当金を受け取らない

2つ目の節税ポイントは、分配金や配当金を受け取らないことです。 分配金や配当金を受け取ってしまうと利益が確定してしまい、税金がかかります。 そのため、分配金や配当金は受け取るのではなく、再投資に回すとよいでしょう。 再投資に回すことで、分配金や配当金の利益が確定しなくなるため、受け取りによる税金はかからなくなります。 また、再投資を行なうと複利効果が得られ、将来的な利益の増大も見込めるでしょう。 このように、投資信託では節税制度以外にも節税するためのポイントがあります。 しっかりと節税ポイントを押さえて、投資信託を行なうとよいでしょう。

まとめ

投資信託にかかる税金は、節税制度と節税ポイントを理解することで、生じる税金を抑えて運用できます。 自分の将来のためにも、今から投資信託を始めて、資金を作っていくことはとても重要です。 せっかく投資信託で資産形成を行なっていくのであれば、節税について理解して、上手に運用したほうがよいでしょう。 本記事で紹介した投資信託における節税制度を参考にして、税金を抑えながら投資信託で資産運用をしてみてはいかがでしょうか。