投資信託を始めるなら知っておきたい5つのリスクと投資戦略

執筆者
プロフィール写真

紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

投資信託に興味を持っている方なら、「投資にリスクは付きものだから、注意が必要」「分散投資してリスクを低減したほうが良い」といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

そもそも、投資において「リスク」とは何でしょうか? 今回は、投資信託を始めるときに知っておきたい、投資信託の代表的な5つのリスクをはじめ、初心者がリスクを抑えて投資信託を運用するための基本的な考え方を説明します。

この記事を読んで得られること
  • 投資の世界における「リスク」の意味がわかる
  • 投資信託を始める際に知っておきたい代表的な5つのリスクがわかる
  • 初心者がリスクを抑えて投資信託する際に必要な2つの観点がわかる

投資信託における代表的な5つのリスク

「リスク」という言葉は、日本では広く一般に「危険」と同義で使われることが多いですが、投資の世界では、少し異なる意味合いで用いられます。 金銭的な損失が生じる可能性が高い状況で投資するのは、たしかに危険な行為ではありますが、それを「リスクが高い投資」とはいいません。

投資でいう「リスク」とは、「予想通りに動かず、振れ幅が広いこと」を意味します。

特に良いニュースが出たわけではないのに突然価格が高騰し、半年後には半分の価格になる、というように、上下の値動きが激しく予測が立てにくい動きをすることを「リスク」といいます。

投資信託の具体的なリスクは、その商品が組み入れている株式や債券によって異なります。

それらの個々のリスクが、投資信託の基準価格に反映されます。

投資信託を購入する際には、商品ごとのリスクの種類や大きさについて、投資信託説明書(交付目論見書)などで綿密に確認しましょう。

投資信託における代表的な5つのリスクを紹介します。

価格変動リスク

投資信託に限らず、多くの投資で取り沙汰されるリスクが「価格変動リスク」です。

投資信託でいえば、組み入れている株式や債券の価格が変動する可能性のことで、一般的に、国内外の政治・経済情勢、企業の業績、金利などの影響を受けます。

複数の要因が絡み合って価格の変動を引き起こすため、基本的には状況が悪くなると価格も下落することが多いですが、まれに急上昇することもあります。

為替変動リスク

円と外国の為替相場の変動によって、外貨建資産の価格が変動する可能性を「為替変動リスク」といいます。

為替変動しないことが一概に良いわけではありません。

運用中に円高が進むと元本割れの可能性が生じますが、逆に円安が進むと当初の想定よりもリターンが高くなることもあります。

海外投資する投資信託には、為替変動による基準価額への影響を受け入れるタイプ(為替ヘッジなし)と、ヘッジコストをかけて為替相場の基準価格への影響を抑制するタイプ(為替ヘッジあり)があります。

「為替ヘッジあり」は為替変動の影響を小さく抑えたいときに、「為替ヘッジなし」は大きくリターンを求める場合や、円安に進むと考えているときに選ぶと良いとされています。

金利変動リスク

「金利変動リスク」は、国内外の政治・経済情勢などによって金利が大幅に変動する可能性のことです。

金利は常に変動しており、一般的に、金利が上がると債券価値は下落し、金利が下がると債券価値が上昇する傾向があります。

信用リスク

「信用リスク」は、投資信託が組み入れている投資先の財政難や経営不振などの理由による、債務不履行になる可能性のことです。

投資先の会社が倒産してしまうと、投資した元本が償還されない(運用は終了するが、元本が払い戻されない)可能性があります。

カントリーリスク

「カントリーリスク」は、海外投資する投資信託において、投資対象国や地域の証券市場や為替市場に混乱が生じる可能性のことです。

特に国債をはじめとする投資対象国が発行する債券に投資している場合は、その国の政治・経済情勢に大きな影響を受けます。

投資対象国の財政が悪化する、内乱、暴動などが起きるといった、国内にいると見えにくい情報に左右されてしまいます。

「分散投資」と「長期保有」で、投資信託のリスクを抑える

投資信託を運用する際に、少しでもリスクを抑えるために重要となる視点が2つあります。

それが「分散投資」と「長期保有」です。 ここでは、「分散投資」と「長期保有」について詳細に解説します。

資産と時間の分散

一度に多額の資金を投入して投資信託した場合、何らかの要因で基準価格(投資信託の価値)が下がったとしたら、莫大な損害を被る可能性があります。

このようなリスクを抑えるためには、資産の分散と時間の分散が重要になります。

  • 資産の分散
    リスクの種類や大きさが異なる複数の商品に分散して投資することで、そのうちの一つに損失が生じても、他の資産の利益で相殺することができます。
    資産を分散することで、資産全体での価格変動の幅が小さくなり、運用の安定性を図ることができます。 投資信託の商品そのものも、複数の投資先を組み入れて分散投資を行なう設計になっています。

 

  • 時間の分散
    資産を分散させた場合も、一つひとつの資産は時期によって多かれ少なかれ値動きがあります。 資金を何回かに分けて投資する、定期的に定額投資するといったことで購入時期を分散し、長期視点でトータルのリスクを抑えるのが「時間の分散」です。 購入のタイミングを分散させることで、その時々の価格変動が資産全体におよぼすリスクを抑えることができます。

長期保有

(出所):金融庁「説明資料」より 投資信託は、運用中に生じる分配金などを元本に含めて再投資し続けることで、長期保有をすると複利の効果を最大限に活かすことができます。

上記の図の通り、収益率は短期的には大きく変動しているように見えても、長期的な視点で見ると変動リスクが小さくなる傾向があります。 前述した「時間の分散」を取り入れた投資手法の代表例として、資金を一度に投資せずに、均等に分割して毎月一定額を投資する「ドルコスト平均法」があります。

ドルコスト平均法で5年以上の長期投資を行なうと元本割れを起こすリスクをかなり抑えられ、保有期間が20年を超えると元本割れを起こすリスクが極めて低いとされています。

(参考)元本が割れない!『ドルコスト平均法』を使った長期投資法とは

まとめ

一般に、投資信託はリスクの少ない投資方法といわれていますが、それでも元本割れなどのリスクは存在しています。

「リスクがあるから」と投資すること自体をやみくもに怖がるのではなく、投資信託説明書(交付目論見書)などで具体的なリスクを把握したうえで、「分散投資」と「長期保有」を基本戦略にして投資信託を購入・運用していくことが大切です。

リスクを極力抑えて投資信託をチャレンジしてみたいという方は、金融庁が選んだ「長期・分散・積立」である「つみたてNISA」で投資信託を始めるのもよいでしょう。

(参考)長期投資で元本割れナシ!積立NISAの基本、運用方法とは

紫垣 英昭