株初心者が必ず理解しなければならない銘柄の基礎とは?

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

投資の教養を運営している紫垣英昭です。

私がブログで、株式投資、資産運用の初心者に対して、プロ投資家の観点からさまざまな“ノウハウ”を明かしていくわけですが、それはつまり「株式投資で効率的に利益を得ていただく」こと、「株式投資で儲けること、稼ぐこと」が前提になります。

しかし、そもそも論として『銘柄とは、いったいどう言うものか?』を理解する必要があります。

この記事では、『株式投資初心者が抑えておくべき、銘柄の基礎』というテーマで、『銘柄とはなにか?』ということについて触れていきたいと思います。

この記事を読んで得られること
  • 大型株、中型株、小型株の特性がわかる
  • 銘柄の選び方がわかる
  • 銘柄の「特性」を抑えておくメリットわかる

そもそも“銘柄”とは何か?

株式投資をする際、どこかの会社に投資をすることになります。

その対象となるのが『銘柄』です。つまり、株式市場に上場している会社が『銘柄』ということになります。

会話調でいうなら・・・

「投資したいのですが、良い『銘柄』はありますか?」

「この銘柄に投資したんだけど、30%も値上がりしたよ!」

という具合です。

通常、株式市場に上場している『銘柄』には4桁の『証券コード』というものが存在します。

たとえば・・・

  • ソニー(6758)
  • ソフトバンク(9984)
  • 日立(6501)

といったように、必ず4桁の『証券コード』が付けられています。

近年では株式投資をする場合、インターネットを通じて取引をすることが増えてきています。
そのとき注文を出す際には、この4桁の『証券コード』を良く使用します。

証券コードを調べる際は、インターネットで検索すると簡単に出てきます。
一般の個人投資家は、ヤフーファイナンスを使うことが多いように思います。

 

9984

「ヤフーファイナンス」を見てみる。

 

 銘柄って、いったいどれくらいの数になるのか?

では、株式市場に上場している銘柄は、いったいどれくらいの数になるのか?株式投資を長年やっている投資家でも、正確に答えられる人は、案外少ないのです。

「日本取引所グループ」が発表しているところでは、2016年4月現在で、約3500社が上場しています。
つまり『銘柄』の数は、約3500銘柄あるということです。かなりの数にのぼることがお分かりだと思います。

ではその内訳を見てみましょう。

・東証1部    1955銘柄
・東証2部     542銘柄
・東証マザーズ   227銘柄
・JASDAQ   785銘柄

という具合になります。

ここでまた新たな言葉が出てきましたね。

「東証1部」とか、「東証マザーズ」、「JASDAQ」などです。

これは、銘柄が上場している『市場』というものです。ごくごく一般的には、『東証1部』に上場している銘柄は、日本を代表する企業であったり、歴史が古い銘柄などが入っています。
野球で言えば、メジャーリーグということになります。

東証2部は、どちらかといえば「マイナー企業」であったり、東証1部に上場している銘柄にくらべ、会社の規模が小さい企業が上場しています。

東証マザーズなどは、比較的歴史が新しい『新興企業』が上場する市場になっていますが、あまりこの上場基準に敏感になることはありません。

大雑把でOKなので、各市場に上場している特徴を捉えておいてください。
日本取引所グループは、各市場の上場審査基準を公開しています。

M

【上場審査基準を見る】

 

 銘柄の種類:大型株、中型株、小型株

株式市場に上場している銘柄は、時価総額や流動性によってある程度、分類が分けられています。

一般的には、

・大型株
・中型株
・小型株

といった区分に分けられます。

日本を代表する会社、たとえば、「ソニー」とか、「パナソニック」とか「トヨタ」とか、日経225銘柄に採用されているような会社を総称して、「主要銘柄」と呼ぶことが多いですね。

日経225採用銘柄はこちら

大型株、中小型株という分類についてはどうなっているかと言えば、大型株は、時価総額、発行済み株式数、日々の出来高が多い銘柄を一般的に指します。
たとえば、「新日鉄住金」、「みずほフィナンシャルG」「東芝」などは、それに該当するでしょう。

主要銘柄と大型株、中型株は結構、ダブっていたりします。
大型株、中型株、小型株の定義について、東京証券取引所は、以下のように定義付けを行っています。

「TOPIX(東証株価指数)を補完する「規模別株価指数」の算出において、東証市場第一部銘柄(内国普通株式)の中から、時価総額と流動性が高い、上位100銘柄(TOPIX100の算出対象)を「大型株」、大型株についで時価総額と流動性が高い上位400銘柄(TOPIX Mid400の算出対象)を「中型株」、大型株・中型株に含まれない全銘柄(TOPIX Smallの算出対象)を「小型株」と呼び、これらの分類に基づいて株価指数を算出しています。」(出所:東京証券取引所HP)

今ひとつ分かりづらい説明ですが、要は、時価総額と流動性の、上位100社、上位400社で、線引きがされているということですね。

ここには特に重要な意味はありませんので、こういうものだと、そのまま受け止めていただければOKでしょう。

まずは、上場銘柄というのは、このように区分されているということを覚えておいてください。

ここで特徴的なのが、

・大型株=時価総額と流動性が高い、上位100銘柄
・中型株=大型株についで時価総額と流動性が高い、上位400銘柄
・小型株=大型株・中型株に含まれない全銘柄

ということになります。

ここで重要なのが「時価総額と流動性が高い」という言葉です。

もうお分かりだと思いますが、『大型株』は、時価総額が大きく、発行済み株式数が多いということになります。

逆に言えば、ちょっとやそっとの買いを集めたところで、株価の変動率は、それほど高くならないということになります。

したがって、大型株を売ったり買ったりしているメインプレーヤーは、機関投資家ということなのです。

逆に『小型株』は、この区分の中では、一番、時価総額が小さく、発行済み株式数もそれほど多くないということになるので、このような銘柄のメインプレーヤーは、ディーラー筋、国内投機家、個人投資家ということになるでしょう。『中型株』は、その中間と思ってください。

株初心者が知っておきたい銘柄の選び方

いざ株式投資を始めようとしたとき、 「株初心者はどの銘柄から選べばいいの?」 「良い『銘柄』の基準がまったく分からない!」 という方もいるかと思います。 ここでは、株初心者が実際に株式投資をする際に知っておきたい、銘柄の選び方を見ていきましょう。

自分が知っている企業から選ぶ

株初心者はまず、身近なものをテーマにして銘柄を探すと選びやすいです。 たとえば、主婦であればスーパーマーケットで商品棚をしょっちゅう見るかと思います。 そこで、自分が気になったものに投資するというわけです。 スーパーマーケットの場合、商品ラインナップの変化があるので、「この会社の商品が最近増えてきたな・・・」とリアルな動向をチェックできるでしょう。 自分とあまりにも関わりのないテーマから始めると、やはり今後の株価を予想しづらいと思います。 もちろん、スーパーマーケットに限らず、グルメ・ファッション・インテリア・家電など、自分にとってやりやすいテーマであれば何でも構いません。 日々の暮らしに注目して、さまざまな分野にアンテナを広げて見てみることが大事です。 もしくは、株式優待がある企業から選ぶのもよいのではないでしょうか。 自社商品の詰め合わせ、株式優待券など、企業によっては充実した内容が用意されています。 ただし、すべての企業で株式優待が用意されているわけではありません。 銘柄選びのときには、どのような株式優待が行われているのか、よく確認しておきましょう。

自分の興味のある業界から選ぶ

世の中にある業界の種類を調べてみて、そこから候補を絞り込んでいくのもよいですね。 業界といえば、金融、マスコミ、サービス、IT、メーカー、商社、小売、官公庁・公社・団体など、たくさんあります。 興味がない業界よりは、自分の興味のある業界を選ぶのがおすすめです。 ゼロから勉強していくとしても、興味があるかないかでモチベーションが大きく異なります。 もし自分にとって詳しい業界があるなら、優先して選んでみるとよいでしょう。 ある程度知識のある業界から始めたほうが、ほかの投資家とくらべても、やはり情報の面で今後有利になるというわけです。 ただし、インサイダー取引に該当しないよう気を付けなくてはなりません。 インサイダー取引とは、「会社関係者」もしくは「会社関係者を通して情報を得た人」が、内部の人間しか知らない情報を使って株式を売買したりすることです。 「知らない間にインサイダー取引をしていた」というパターンもあるので、十分に注意してください。

投資スタイルで選ぶ

ここまで説明したやり方で企業や業界を絞ったら、目星を付けた投資先の詳しい情報を集めていきます。 株初心者におすすめの投資スタイルは、

  • 成長株=成長率が高く、今後期待できる銘柄
  • 割安株=業績は伸びているが、現時点で株価が安い銘柄
  • 低位株=取引量が少なく、少額で伸びる銘柄

に投資するという方法です。 銘柄を選ぶときには、PERやPBRなど客観的なデータを参考にするとよいでしょう。 「その投資先の伸びしろがどれだけあるのか?」「将来性の高さを裏付ける理由があるのか?」など、データを参照しながらしっかりと考えてみてください。

 

まとめ

今回は「株式投資初心者が抑えておくべき、銘柄選びの基礎」というテーマでお伝えしましたが、ひとくちに『銘柄』といっても、これだけ多くの意味があります。

すべてを覚える必要はありませんが、以下の「特性」くらいは頭に入れておいたほうが良いでしょう。

大型株は、いつでも大量に売買できる『流動性』がありますが、大量の売り買いがなければ、株価は大きく動かないという特性があります。
また小型株においては、いつでも大量に売買はできませんが、一旦相場に火が着くと、急激に出来高が増加し、大きな値幅を狙えるということになります。

これらの「特性」は、実際に投資をするときに、銘柄を選ぶときの材料になるからです。

また別の機会で、「投資収益を得る」という観点からの銘柄選びの手法をお教えしたいと思います。

 

紫垣 英昭

この記事をかいた人

投資家 / オープンエデュケーション株式会社代表取締役。1964年大阪生まれ。甲子園出場経験者。大学卒業後、証券会社に勤務し、事業法人、金融法人営業、自己売買部門を担当。証券会社退職後、株式投資をはじめ、 日経225先物、FX等の売買指導を行い、個人投資家から絶大なる信頼を得ている。証券会社時代に培ったスキルを投資初心者でも理解できるよう売買指導を行い、今では3000人以上の受講生を抱え、「真に自立できる個人投資家」を輩出するために積極的に活動している。著書に『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』(幻冬舎)『億を稼ぐ投資法則』(ユウメディア)『少額資金で儲ける株ゴー ルデンルール』(ユウメディア)がある。