ビットコイン上昇で株式市場も恩恵!2020年は仮想通貨関連銘柄も要チェック

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

新型コロナ下で、日経平均がバブル期以来30年ぶりの高値を付けるなど株式市場が好況ですが、ビットコインを始めとする仮想通貨の上昇も止まりません。

ビットコイン価格は、2020年3月にはコロナショックの影響もあり一時5,000ドルを割り込みましたが、その後はジワジワと上昇。2020年12月から1月に掛けて一段高となり、一時4万ドルに迫る展開となりました。

株式市場でも、仮想通貨取引所を運営する仮想通貨関連銘柄を中心に、仮想通貨上昇の恩恵を受けて上昇する銘柄が出てきています。

今回は、仮想通貨の基本的な概要や2020年~2021年のビットコイン価格について解説した上で、日本株を代表する仮想通貨関連銘柄についてチャート付きでご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • 仮想通貨の基本的な概要がわかる
  • 2020年~2021年のビットコイン価格について理解できる
  • 日本株を代表する仮想通貨関連銘柄がチャート付きでわかる

仮想通貨とは?

そもそも仮想通貨とはどのようなものなのか?また、代表的な仮想通貨についても簡単に押さえておきましょう。

仮想通貨の概要

仮想通貨とは、電子データとして流通している通貨のことです。

なお、日本では、「仮想通貨」という呼称は誤解を招くことがあったため、2019年5月から「暗号資産」へ呼称変更しており、資金決済法や金融商品取引法においては「暗号資産」と呼ばれます。

ただ、2017年~2018年年初までの仮想通貨バブルで「仮想通貨」という呼称が広まったことから、現在でも「仮想通貨」と呼ばれることが一般的です。

仮想通貨には、円やドルといった法定通貨のような国家による裏付けや強制通用力はありませんが、現在は多くのネットサービスなどで利用することが可能です。

仮想通貨が国家による裏付けがないにも関わらず通貨として世界中で通用している理由には、暗号理論に裏付けされた取引の安全性確保や偽造防止の仕組みが採用されていることが挙げられます。

最も代表的な仮想通貨であるビットコインは、ブロックチェーンによってセキュリティが担保されていることが知られています。

国家ではなく、ブロックチェーンなどの暗号テクノロジーによって通貨としての価値が担保されていることが、仮想通貨が「暗号通貨」と呼ばれる所以です。

仮想通貨は2009年にビットコインが登場して以来、アルトコインと呼ばれる派生型仮想通貨が次々と誕生しており、2021年現在は世界中で1,000種類を超える仮想通貨があると推定されています。

円やドルなどの法定通貨とビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を交換するには、仮想通貨取引所と呼ばれる仮想通貨交換業者を介する必要があり、日本ではbitFlyerやCoincheck、DMM Bitcoinなどが主要事業者となっています。

代表的な仮想通貨は?

代表的な仮想通貨を押さえておきましょう。

(仮想通貨の時価総額 引用:モーニングスター社の仮想通貨情報)

ビットコイン(Bitcoin)

ビットコイン(Bitcoin)は、最も代表的な仮想通貨として知られています。2021年1月25日時点の時価総額は約64兆円です。

世界の仮想通貨全体の時価総額の7割弱が、ビットコインの時価総額となっており、仮想通貨=ビットコインと言っても過言ではありません。

イーサリアム(Ethereum)

イーサリアム(Ethereum)は、ビットコインに次いで時価総額が大きな仮想通貨です。2021年1月25日時点の時価総額は約17兆円となっています。

時価総額はビットコインの4分の1程度となっており、仮想通貨市場全体の15%程度となっています。

なお、セキュリティにはビットコインと同様にブロックチェーン技術が使われています。

リップル(XRP)

リップル(XRP)は、時価総額5位の仮想通貨です。2021年1月25日時点の時価総額は約1.3兆円となっています。

日本の仮想通貨取引所では人気通貨となっていますが、時価総額でみるとイーサリアムの10分の1以下程度です。

やはり、セキュリティにはビットコイン・イーサリアムと同様にブロックチェーン技術が使われています。

ライトコイン(Litecoin)

ライトコイン(Litecoin)は、ビットコインから派生した仮想通貨です。2021年1月25日時点の時価総額は約1兆円となっています。

ビットコインの欠点を解消した仮想通貨となっており、送金も早いことから、ビットコインと並んで利用者の多い仮想通貨として知られています。

ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)

ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)は、ビットコインの利便性を高めるために2017年に誕生した仮想通貨です。2021年1月25日時点の時価総額は約9,000億円となっています。

2017年の仮想通貨バブルの際に、ビットコインの送金遅延や手数料の高騰が問題視されたことを背景に誕生しました。

仮想通貨は2020年~2021年に再びバブルとなっている

ビットコインを始めとする仮想通貨市場は、2017年から2018年初めに掛けてバブル状態となりましたが、その後は暴落していました。

2020年に仮想通貨市場は再び急騰しており、2018年に付けた高値を大きく更新しています。

ビットコイン価格の長期チャートを見てみましょう。

ビットコインの週足チャート(引用 : https://jp.tradingview.com/symbols/BTCUSD/?exchange=BITSTAMP)

ビットコインは2020年3月にはコロナショックの影響で一時5,000ドルを割り込みましたが、その後はジワジワと上昇。2020年12月から1月に掛けて一段高となり、一時は4万ドルに迫る展開となりました。

2020年には一気に上昇したということではなく、上昇分のほとんどが2020年12月~2021年1月の2ヶ月によるものです。

また、ビットコインだけではなく、時価総額2位のイーサリアムも急騰しています。

イーサリアムの週足チャート(引用 : https://jp.tradingview.com/symbols/ETHUSD/?exchange=BITSTAMP)

イーサリアムは、2020年10月から2021年1月までに一時3倍以上になっています。

ビットコイン・イーサリアムが急騰したことにより、仮想通貨全体の時価総額は2021年1月に史上初めて100兆円を突破しました。

仮想通貨急騰の背景としては、新型コロナ対策で世界的に財政出動が行われていることから法定通貨の価値に疑問を持つ投資家が増えており、機関投資家が仮想通貨をポートフォリオに組み入れる動きが出てきていることなどが指摘されます。

そして、仮想通貨の急騰を受けて、日本株の仮想通貨関連銘柄の中にも大きな値上がりとなる銘柄が出てきています。

仮想通貨取引所

仮想通貨取引所を運営する銘柄は、最も代表的な仮想通貨関連銘柄となります。

【8698】マネックスグループ

ネット証券大手「マネックス証券」で知られる【8698】マネックスグループは、2018年に仮想通貨取引所「Coincheck(コインチェック)」を買収したことから仮想通貨関連銘柄に位置付けられるようになりました。

日本の大手仮想通貨取引所では、bitFlyerとDMM BitcoinのDMMグループは非上場であるため、Coincheckを傘下とする同社は最も代表的な仮想通貨関連銘柄と言えます。

【8698】マネックスグループの月足チャート

マネックスグループの株価は、仮想通貨が高騰した直近3ヶ月で大きな値上がりとなっていることが分かります。

2020年11月始値から2021年1月高値で見ると、251円→541円となっており、3ヶ月で2倍以上の値上がりとなっています。

【3825】リミックスポイント

仮想通貨取引所「BITPOINT(ビットポイント)」を運営する【3825】リミックスポイントは、低位株の仮想通貨関連銘柄となっています。

【3825】リミックスポイントの月足チャート

リミックスポイントの株価は、2017年の仮想通貨バブルのときには1年でテンバガーを達成しましたが、2018年以降は大暴落となっています。

2020年末からの仮想通貨再バブルでもほとんど動いていません。1月にはわずかに上昇したものの、急騰と言えるものではありません。

ただ、100円前後のボロ株となっているため、仮想通貨バブルが続いた場合には、今後再急騰する可能性も考えられます。

【3807】フィスコ

金融情報サービスを手掛ける【3807】フィスコは、仮想通貨取引所「ZaifExchange」を運営している仮想通貨関連銘柄です。

【3807】フィスコの月足チャート

フィスコの株価は長期的には苦しい展開ですが、仮想通貨再バブルとなった直近2ヶ月には反発していることが分かります。

【7177】GMOフィナンシャルホールディングス

FX事業者大手「GMOクリック証券」を展開する【7177】GMOフィナンシャルホールディングスは、仮想通貨取引所「GMOコイン」を展開していることでも知られています。

【7177】GMOフィナンシャルホールディングスの月足チャート

GMOフィナンシャルホールディングスの株価は、長期的には2015年のIPO以降は右肩下がりですが、仮想通貨が再バブルとなった直近3ヶ月で大きく上げていることが分かります。

【8732】マネーパートナーズグループ

FX事業を中心に手掛ける【8732】マネーパートナーズグループは、子会社のコイネージ株式会社が仮想通貨取引所「コイネージ」を運営しています。

【8732】マネーパートナーズグループの月足チャート

マネーパートナーズグループの株価は、2016年に高値を付けて以来、長期的な下落トレンドにあります。直近の仮想通貨上昇でも反応がほとんど見られません。

ブロックチェーン関連銘柄

仮想通貨関連銘柄として、仮想通貨に使われている技術であるブロックチェーンに力を入れているブロックチェーン関連銘柄が物色されることも期待されます。

【3808】オウケイウェイヴ

質問・回答サイト「OKWave」を運営する【3808】オウケイウェイヴは、ブロックチェーンに力を入れていることで知られています。

同社は、Bitcoin、Ethereum、Bitcoin Cash、NEOの4種類の仮想通貨の送受信などができるブロックチェーンWebウォレット「URwallet」や、ブロックチェーン電子投票システム「BCVote」などを手掛けています。

なお、同社は名古屋証券取引所の新興市場:名証セントレックス上場銘柄です。

【3808】オウケイウェイヴの月足チャート

オウケイウェイヴの株価は、2018年にはブロックチェーンが期待されてテンバガー達成となりましたが、以後は暴落となっています。2020年の仮想通貨上昇でもほとんど反応は見られず、むしろ下落が止まりません。

【6172】メタップス

決済やマーケティング支援などを手掛ける【6172】メタップスは、ブロックチェーンに力を入れる新興企業です。

同社のCEOである佐藤航陽氏は、「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」という仮想通貨に関する本を出版し、ベストセラーにもなっています。

【6172】メタップスの月足チャート

メタップスの株価は、直近の仮想通貨バブルでも買われていないようです。

【2307】クロスキャット

金融向けに強いシステム開発会社の【2307】クロスキャットは、ブロックチェーン技術者の育成に力を入れるなどブロックチェーンに注力しています。

同社は、2019年には、ブロックチェーンソフトウェアに強いScalar社と業務提携を発表しました。

【2307】クロスキャットの月足チャート

クロスキャットの株価は順調です。システム開発会社ということもあり、デジタルトランスフォーメーション関連として投資家から買い支えられていることが一因と見られます。

ただ、仮想通貨バブルとなった2017年から2018年にはブロックチェーン関連銘柄として大きく買われましたが、直近の仮想通貨バブルではブロックチェーン関連としては買われていないようです。

デジタル通貨関連銘柄

2021年には、中国がデジタル人民元を発行し、Facebookが仮想通貨「ディエム(旧・リブラ)」の発行を予定していることから、仮想通貨を含むデジタル通貨全般に注目が集まります。

デジタル通貨関連銘柄として注目されている銘柄をいくつか押さえておきましょう。

【9753】アイエックス・ナレッジ

金融向けに強いシステムインテグレーターの【9753】アイエックス・ナレッジは、デジタル通貨関連銘柄として物色されやすい銘柄です。

【9753】アイエックス・ナレッジの月足チャート

アイエックス・ナレッジの株価は、2020年には順調に反発しています。

特に2020年10月には、日銀がデジタル通貨の実証実験をすると発表したことを受けて、地銀再編やデジタル通貨発行などのテーマで期待されて大きく買われることになりました。

【3917】アイリッジ

アプリ開発やファン育成プラットフォーム「FANSHIP」を活用したマーケティング支援を手掛ける【3917】アイリッジは、デジタル通貨に力を入れていることで知られています。

同社は、電⼦地域通貨サービスを開始できるプラットフォームシステム「MONEY EASY」を展開しており、岐阜県の飛騨高山地域のデジタル通貨「さるぼぼコイン」、千葉県木更津市のデジタル通貨「アクアコイン」、東京都世田谷区のデジタル商品券・地域通貨「せたがやPay」などに採用されています。

【3917】アイリッジの月足チャート

アイリッジの株価は、2015年のIPO以降は苦しい展開となっています。

まとめ

今回は、仮想通貨の基本的な概要や2020年~2021年のビットコイン価格について解説した上で、日本株を代表する仮想通貨関連銘柄についてチャート付きでご紹介してきました。

ビットコインやイーサリアムは2020年12月~2021年1月の2ヶ月で一段高となっており、世界全体の仮想通貨の時価総額は一時100兆円を突破しました。

仮想通貨の上昇を受けて、仮想通貨取引所「Coincheck」を傘下に持つ代表的な仮想通関連銘柄【8698】マネックスグループの株価は大きく上昇しています。

【8698】マネックスグループ以外の仮想通貨関連銘柄の株価も上がっていますが、2017年~2018年の仮想通貨バブルに比べると、仮想通貨関連銘柄はそこまで急騰しているとは言えません。

また、仮想通貨を支える技術であるブロックチェーン関連銘柄も2017年~2018年には急騰しましたが、今回はほとんど上昇が見られません。

今後、仮想通貨価格がさらに上昇した場合には、【8698】マネックスグループ以外の関連銘柄にも上昇が波及していく展開が考えられます。仮想通貨価格の動向とともにチェックしておきましょう。

紫垣 英昭