注目したい「Gotoキャンペーン関連12銘柄」アフターコロナ期待のテーマ株

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

新型コロナ経済対策として実施されている「Gotoキャンペーン」は、株式市場においても注目される国策テーマとなっています。

「Gotoキャンペーン」は、観光促進の「Gotoトラベル」、外食促進の「Gotoイート」、エンタメイベント促進の「Gotoイベント」の3つからなり、それぞれアフターコロナでも注目のセクターです。

Gotoトラベルキャンペーンは新型コロナ第三波で2020年12月末から中止となっていましたが、コロナ感染者数が下火となったことから、岸田政権の経済政策のもと2022年2月頃に再開されると報じられています。

今回は、Gotoキャンペーンの概要や関連銘柄の特徴、最新ニュースについて解説した上で、アフターコロナ株としても注目されるGotoキャンペーン関連銘柄についてチャート付きでご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • Gotoキャンペーンの概要や関連銘柄の特徴、最新ニュースがわかる。
  • アフターコロナ株としても注目されるGotoキャンペーン関連銘柄についてチャート付きでわかる。
  • 今後、Gotoイベント関連銘柄のどのような動きに注目するべきかわかる。

GotoキャンペーンとGotoキャンペーン銘柄とは?

Gotoキャンペーンこと「Gotoトラベル」「Gotoイート」「Gotoイベント」と、それぞれのGotoキャンペーン銘柄の特徴について押さえておきましょう。

Gotoトラベルキャンペーン

Gotoトラベルキャンペーンは、新型コロナで傷付いた観光や旅行業界を盛り上げようと、2020年7月22日から始まったキャンペーンです。

キャンペーン期間中には、1人1泊2万円を上限に旅行代金の半額が支援される内容となっており、1兆6794億円の予算が投入され、Gotoキャンペーンの中でも最大規模となりました。

新型コロナ第二波の真只中で開始されたことから当初は反対論も根強かったものの、2020年夏から11月までは感染者を激増させることもなく、経済政策として成功したと言えます。

ただ、新型コロナ第三波を受けて、2020年12月28日より中断となってしまいました。

マーケットで「Gotoキャンペーン関連銘柄」というと、Gotoトラベルキャンペーンで恩恵を受ける旅行株や観光株を指すことが多くなっています。

【9603】エイチ・アイ・エスや【9726】KNT-CTホールディングスといった旅行株は、コロナショックで株価が大きく下がっていましたが、Gotoトラベルキャンペーンが始まった2020年夏から大きな反発に転じることになりました。

【9726】KNT-CTホールディングスの月足チャート

大手旅行代理店「近畿日本ツーリスト」を展開する【9726】KNT-CTホールディングスの株価は、2020年7月末に二番底を付けていましたが(上図赤丸)、Gotoトラベルキャンペーンの開始と同時に反発し、最悪期を脱したことが分かります。

Gotoイートキャンペーン

Gotoイートキャンペーンは、新型コロナで打撃を受けた飲食店を支援するためのもので、2020年10月1日から始まりました。

Gotoイートキャンペーンは、ポイント還元とプレミアム付き食事券発行の2本柱です。

特に、ネット予約からのポイント還元では、飲食代金が300円など少額でも1,000円分のポイントがもらえてしまう「錬金術」が広まり、実質無料で外食ができる「無限くら寿司」などが話題となりました。

【2695】くら寿司の月足チャート

無限くら寿司で大きな話題を呼んだ【2695】くら寿司の株価は、2020年秋のGotoイートキャンペーンを受けて大きく上がったことが分かります。

ただ、ネット予約からのポイント還元は、当初は2021年1月下旬まで実施される予定でしたが、余りにも好評だったため予算が尽きてしまい、2020年11月に早期終了しています。

2割引きのプレミアム食事券は都道府県ごとに販売されましたが、新型コロナ感染拡大を受けて延期や休止となるなど、各都道府県によってまちまちの状況です。

Gotoイートキャンペーン関連銘柄は、外食株や外食予約サイトが中心となっていますが、目玉のポイント還元が早期終了となったため、マーケットではそこまで大きな影響はなかったと言えます。

Gotoイベントキャンペーン

Gotoイベントキャンペーンは、新型コロナによって甚大な影響を受けている文化・芸術・スポーツといったエンタメイベントの需要喚起を目的とした事業です。

三密リスクを回避し、新しい生活様式に対応したエンタメイベントに対して、「チケット代の2割相当分の割引支援」または「チケット代の2割相当分をイベント会場で使えるクーポン」が支給されます。

Gotoイベントキャンペーンの対象期間は、2020年10月29日から2021年1月31日までと予定されていましたが、新型コロナの感染拡大を受けてオンラインイベントのみが対象となっています。

Gotoイベントキャンペーンの開始当初は、テーマパークを運営している銘柄に注目が集まりましたが、オンラインのみとなったことでイベントチケット販売会社やライブなどのイベント会社、芸能事務所株が中心銘柄です。

ただ、エンタメ株については、Gotoイベントキャンペーンの実施よりも、イベントの観客上限数撤廃のニュースの方が大きく反応する傾向があります。

Gotoキャンペーン関連銘柄はアフターコロナ株としても注目される

Gotoキャンペーン関連銘柄は、新型コロナで大きな打撃を受けた旅行(観光)・飲食・エンタメを支援するための政府政策です。

この3セクターは、新型コロナから経済正常化に向かうことで、それまで消費が押さえられていた分の特需が期待される「アフターコロナ関連株」でもあります。

Gotoキャンペーン関連銘柄はアフターコロナ株としても注目されるということを踏まえて、3セクターの最新トレンドについて押さえておきましょう。

Gotoトラベルは2022年2月再開の方針!

Gotoトラベルキャンペーンは、2020年12月末に休止したままとなっていましたが、政府は2022年2月頃の再開を目指す方針であると報じられています。

ただ、内容は見直され、代金の割引上限は1万4千円から1万円に減額とし、旅先の飲食や土産物購入などに使える地域共通クーポンは平日3千円、休日千円の定額にするとのことです。

また、今回のGotoトラベルキャンペーン再開では、ワクチン接種証明、検査陰性証明の提示が求められるということです。

ただ、日本以外の世界中で新型コロナの再拡大が起こっており、日本でも2021年冬に第六波が来る懸念は依然として拭えません。

第六波となった場合でも、Gotoトラベルキャンペーンを再開するのかどうか、アフターコロナに本格的に舵を切れるのかどうかなど、未知数の部分があることには注意しておきましょう。

Gotoイートは2022年GWまで延長、時短営業は2021年10月で終了

Gotoイートキャンペーンは、プレミアム食事券の販売が2022年ゴールデンウィーク頃まで延長する方針と伝わっています。なお、2020年10月に大好評となったポイント還元は、再実施されることはないようです。

飲食店にとって、Gotoイートキャンペーンの延期よりも重要なのが、緊急事態宣言の終了に伴って、2021年10月から時短営業が終了したことです。

東京、大阪、神奈川、千葉、埼玉の5都府県でも、それまで21時までとなっていた営業時間短縮要請が10月24日から解除されました。

とはいえ、飲食店に客足は戻りつつあるものの、新型コロナ前には及ばないという声も少なくありません。

2021年の年末も、忘新年会を中止にするケースは多く、飲食店がコロナ前に戻るには、時間が掛かりそうです。

Gotoイベント関連はイベント人数制限が大幅緩和へ

Gotoイベントキャンペーンで恩恵を受けるエンタメ企業にとっては、Gotoイベントよりもイベント人数制限の緩和に期待が掛かっていました。

新型コロナの感染抑制を受けて、2021年11月19日に決定された政府方針では、主催者が感染対策を徹底するという条件付きで、イベント定員100%まで入場できることが決定しました。

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が発令されている地域であっても、「ワクチン・検査パッケージ」を活用すれば収容定員まで認めるとのことです。

スポーツイベントにおいての声出しの応援や、ライブでの合唱などはまだ制限が掛かる状況ではあるものの、エンタメにとって大きな前進であることは間違いありません。

Gotoトラベル関連銘柄

旅行株を中心としたGotoトラベル関連銘柄について見ていきましょう。

【9603】エイチ・アイ・エス

旅行代理店大手の【9603】エイチ・アイ・エスは、代表的な旅行株でありGotoトラベル関連銘柄、そしてアフターコロナでも注目の銘柄です。

【9603】エイチ・アイ・エスの月足チャート

エイチ・アイ・エスの株価は、2020年8月にGotoトラベルキャンペーンで大きく買われて以降は、着々と買い戻されていることが分かります。

ただ、業績は依然として悪く、株価はまだ新型コロナ前を戻していません。

アフターコロナで海外旅行が解禁されることに期待が集まります。

【3926】オープンドア

旅行比較サイト「トラベルコ」を運営する【3926】オープンドアは、Gotoトラベルキャンペーンでも大きく買われた旅行株です。

【3926】オープンドアの月足チャート

オープンドアの株価は、長期で見ると2018年に付けた高値からは下げていますが、2020年3月のコロナショック以降は大きく反発しています。

【6191】エアトリ

航空券予約サイト「エアトリ」を運営する【6191】エアトリは、アフターコロナ期待からも買われているGotoトラベルキャンペーン関連銘柄です。

【6191】エアトリの月足チャート

エアトリの株価は、旅行株にも関わらず新型コロナ禍で上場来高値を更新しています。

特に、2021年2月発表の決算で黒字転換を発表したことが好感されました。

なお、同社と同業で、格安航空券予約サイト「スカイチケット」を手掛ける【6030】アドベンチャーも良好な株価展開となっています。

【9020】JR東日本

東日本最大の鉄道会社【9020】JR東日本も、Gotoトラベルキャンペーン関連銘柄に位置付けられます。

【9020】JR東日本の月足チャート

JR東日本の株価は苦しい展開となっています。

【9021】JR西日本、【9022】JR東海も同様の値動きとなっており、鉄道株はアフターコロナでも期待できるセクターですが、まだ大きく買い戻されてはいません。

【9202】ANAホールディングス

国内線・国際線ともに国内最大手の航空会社【9202】ANAホールディングスは、Gotoトラベルキャンペーン関連銘柄としても注目の銘柄です。

【9202】ANAホールディングスの月足チャート

ANAホールディングスの株価はJR同様に苦しい展開です。

なお、【9201】JALも同様の値動きとなっています。

今後、海外旅行が解禁され、空輸も復活することによって、アフターコロナの株価・業績の回復が期待されます。

Gotoイート関連銘柄

外食チェーン株を中心に構成されるGotoイート関連銘柄は、コロナ禍の業績によって二極化の展開となっています。

【3563】FOOD & LIFE COMPANIES

回転寿司チェーン最大手「スシロー」を展開する【3563】FOOD & LIFE COMPANIESは、プレミアム食事券を使えるGotoイート関連銘柄です。

【3563】FOOD & LIFE COMPANIESの月足チャート

FOOD & LIFE COMPANIESの株価は、スシローの業績が絶好調であることを受けて大きな値上がりとなっています。

【3097】物語コーポレーション

焼肉食べ放題チェーン「焼肉きんぐ」を展開する【3097】物語コーポレーションも、Gotoイート関連銘柄に位置付けられる外食株です。

【3097】物語コーポレーションの月足チャート

物語コーポレーションの株価は、「焼肉きんぐ」の好調を受けて、新型コロナ禍でも上場来高値を更新し続けています。

外食株は、多くの銘柄がGotoイート関連銘柄に位置付けられているものの、「スシロー」や「焼肉きんぐ」のように、Gotoイートに関係なく新型コロナ禍でも成長を続けている銘柄が買われている傾向があります。

【3197】すかいらーくホールディングス

「ガスト」や「バーミヤン」「しゃぶ葉」などの外食チェーンを展開する【3197】すかいらーくホールディングスも、Gotoイート関連銘柄にも位置付けられる外食株です。

【3197】すかいらーくホールディングスの月足チャート

すかいらーくホールディングスの株価は、新型コロナ禍で苦戦しています。

同じく外食大手の【7616】コロワイドなども同様の値動きとなっていますが、直近決算では黒字展開が目立ってきており、アフターコロナでの巻き返しに期待です。

【7625】グローバルダイニング

都市部でイタリアやアジア料理などのレストランチェーンを展開する【7625】グローバルダイニングは、東京都からの時短要請を拒否したことでも話題となった外食株です。

【7625】グローバルダイニングの月足チャート

グローバルダイニングの株価は、時短要請を拒否して営業し続けたことで大きく買われるという皮肉な展開となっています。

マーケットは、Gotoや協力金支給のような政策ではなく、通常営業によって利益を出して成長することを求めているということでしょう。

Gotoイベント関連銘柄

イベント会社や芸能事務所株といったGotoイベント関連銘柄を見ていきましょう。

【4337】ぴあ

イベントチケット販売最大手の【4337】ぴあは、Gotoイベント関連銘柄としてはもちろん、イベント収容人数規制撤廃を受けてアフターコロナでも注目の銘柄です。

【4337】ぴあの月足チャート

ぴあの株価は、長期的には2017年末の高値から下げていますが、コロナショック以降は横ばい~上昇という値動きです。

まだ新型コロナ前を取り戻してはいませんが、イベント収容人数緩和を受けて買われることも期待されます。

【7860】エイベックス

音楽ソフト大手で、人気アーティストが多数所属する【7860】エイベックスは、ライブイベントの収容人数制限撤廃で期待されるGotoイベント関連銘柄です。

【7860】エイベックスの月足チャート

エイベックスの株価は、業績はまだコロナ前には戻していないものの、株価は先行して反発しておりコロナ前を回復していることが分かります。

【4301】アミューズ

サザンオールスターズや福山雅治、星野源、Perfumeといった人気アーティストが多数所属する大手芸能プロの【4301】アミューズは、ライブイベントの収容人数制限撤廃で反発が期待されるGotoイベント銘柄です。

【4301】アミューズの月足チャート

アミューズの株価は、ライブイベントが実施できない影響から、エイベックスほどには反発していません。

今後、ライブイベントの人数制限が撤廃されることを受けて、アフターコロナ株として大きく反発してもおかしくありません。

まとめ

今回は、Gotoキャンペーンの概要や関連銘柄の特徴、最新ニュースについて解説した上で、アフターコロナ株としても注目されるGotoキャンペーン関連銘柄についてチャート付きでご紹介してきました。

Gotoキャンペーン関連銘柄は、旅行株を中心とするGotoトラベル関連銘柄、外食株を中心とするGotoイート関連銘柄、エンタメ株を中心とするGotoイベント関連銘柄の3セクターとなっています。

いずれのセクターも、コロナ禍で消費が大きく抑えられていたことから、経済正常化に向かうアフターコロナで特需が期待されるセクターとなっています。

特に、マーケットで注目されるのはGotoトラベル関連銘柄です。

2022年2月頃から再開されると報じられており、旅行・観光株には再びGoto相場が到来する可能性があります。

Gotoイート関連銘柄は時短営業の撤廃、Gotoイベント関連銘柄はイベント収容人数の撤廃を受けて反発していくかどうかに注目です。

紫垣 英昭