空売り規制とは?新規空売り禁止との違いと罰則を防ぐ方法

あなたは「空売り規制」「新規空売り禁止」の明確な違いがお分かりでしょうか?

「ん?空売り規制も新規空売り禁止も同じ意味なんじゃないの?」と思われた方も多いことでしょう。

のちほど詳しくお伝えしますが「空売り規制」は、投機的で不当な空売りの乱用を防ぐためのものであり、「新規空売り禁止」は株価急騰などで株不足が発生したときに取られる規制です。

しかしこの二つの規制は、しばしば混同して使われ理解されているようですが、似て非なるものでまったく異なる内容です。

特に「空売り規制」において間違った取引をしてしまうと、金融商品取引法違反となり罰則の対象になるのです。

そんなことにならないためにも「空売り規制」「新規空売り禁止」について正しい知識を身に付けてください。

1.「空売り」とは、どういう取引なのか?

「空売り規制」や「新規空売り禁止」について説明する前に、まずは「空売り」ということについて説明しましょう。

「空売り」とは、株価が下がれば利益となるという投資手法のことを言います。

株初心者には、なかなか理解しにくい投資手法ですが、持っていない株を証券会社などから借りて市場で売却、その後、株価が安くなったところで買い戻し、借りた株を返して差益を得るという手法です。

一般的に株式投資では、買った価格より株価が上がったら儲かります。仮に1,000円で買った株を、1,500円で売却すれば、プラス500円×株数が利益になります。

「空売り」はこれとは逆で、1,500円で空売りをして、1,000円で買い戻すことができれば、プラス500円×株数が利益になるという取引です。

 

一般口座では「空売り」ができないので、「空売り」を実行する場合は、「信用取引口座」を開設する必要があります。

空売りについては、僕のブログでも詳しく紹介しているので、ぜひ読んでみてください。

下げても儲かる!空売りを成功させるための3つのポイント

1-1 「貸借銘柄」と「制度信用銘柄」について

さて「空売り」についてですが、実は、上場しているすべての銘柄が「空売り」できるというわけではありません。

信用取引では銘柄ごとに「貸借銘柄」「制度信用銘柄」のふたつに大きく分けられますが、「空売り」が可能なのは「貸借銘柄」に限られます。

以下は、楽天証券のソフトの画像です。

赤い枠で示したように、「貸借」と表記されているのが「貸借銘柄」にあたり、「信用」と表記されているのが「制度信用銘柄」にあたります。

 

 

基本的には普段、出来高が多くいろんな投資家が売買をしている流動性の高い銘柄は「貸借銘柄」であることが多く、普段、出来高が少なく流動性の低い銘柄は空売りができない「制度信用銘柄」に指定される傾向にあります。

日本の株式市場に上場している銘柄で「貸借銘柄」の銘柄数は、日本取引所グループが公表しています。

制度信用、貸借銘が数の推移(日本取引所グループ)

2016年末現在の「貸借銘柄」の数は、

東証1部     1737銘柄
東証2部     159銘柄
東証マザーズ    36銘柄
JADAQ      133銘柄

となっているようです。

また近年、証券会社と投資家との契約で、返済期限を自由に設定できる「一般信用取引」という制度もあります。多くは返済期限を設けていない場合が多いようですが「一般信用取引」を使っても空売りが可能な証券会社が増えてきているようです。

空売りができるできないは、各証券会社が決めていますので、取引している証券会社のHP等で確認してみてください。

1-2 株価の上昇局面で「空売り」は増える傾向にある

「空売り」というのは、株価が下がれば儲かる手法です。したがって株価が勢いよく上昇し値上がりすればするほど、「もうすぐ下がるだろう」と思う投資家も増えてきます。

つまり、株価上昇時に空売りの数は増えるのが通常です。

株価上昇の期間が長くなれば、空売りをするための株数も多くなりますから、場合によっては「株不足」の状態になります。「株不足」の状態になれば「逆日歩」という「貸し株料」が空売りをしている投資家に課せられることになります。

 

1-3 空売り規制対象銘柄は、急激な株価変動が原因

これまで、「空売りとはどんな投資手法なのか?」「空売りができる銘柄とは?」「株価上昇時に空売りは増える」ということをお伝えしてきましたが、ここから本題の「空売り規制」の話に入っていきたいと思います。

そもそもなぜ「空売り規制」や「新規空売り禁止」という規制が存在するかというと、あくまで僕の私見ですが、「株式市場の公正な取引」「市場の安定化」「投資家保護」が理由から、日本の金融当局、取引所、証券会社は株価の急激な変動を嫌い、監視体制を整え、必要に応じて「空売り規制」や、「新規空売り禁止」という措置が取られるということだと思います。

これから具体的に「空売り規制」「新規空売り禁止」についてお話していきますが、まずは、株価の急激な変動が起きれば規制が発動されやすくなることを覚えておきましょう。

2.空売り規制とは

ではこれから「空売り規制」について具体的に説明をしていきます。

「空売り規制」と「空売り禁止」と混同している人が多いのですが、両者はまったく異なりますので注意してください。

2-1 株の「空売り規制」が行われた背景

バブル崩壊後、日本経済は長引く不況から株価が大きく下落をしていくなか、投機的な空売りの乱用により不当な利益を得られないようにするため、1998年に旧大蔵省はデフレ対策の一環として「空売り規制」を導入します。

その後、2002年3月6日に金融庁は、「空売り規制」の改定を行い、最終的には、2013年11月「空売り規制」の見直しが実施されました。

「空売り規制」が導入された背景は、長引く不況からデフレに苦しむ株式市場において、不当かつ投機的な空売りを抑制するためのものだったのです。

2-2 空売り規制となる株数について

では次に、「空売り規制の銘柄と、具体的な規制ルール」についてお伝えしていきましょう。

はじめに抑えておきたいのが規制対象となる「空売りの株数」の問題です。規制の対象となる「空売りの株数」は“51単元以上”というのがルールになっています。

どういうことかというと、たとえば市場で1000株で取引されている銘柄の場合、51000株以上の空売り株数が規制対象になるということです。100株で取引されている銘柄の場合は、5100株以上が対象になります。

“51単元”を下回る空売りの株数は規制の対象にはなりません。ただし、50単元以下の空売りを連続的に行った場合、意図的に分割して行ったとみなされ、法令違反行為に認定される可能性がありますので注意が必要です。

2-3 空売り規制となる銘柄はどうやって決まるのか?

続いて「空売り規制」の対象となる銘柄はどのように決まるのでしょうか。

2002年3月6日に実施された「空売り規制」の改定では、上場しているすべての銘柄が空売り規制の対象でしたが、景気回復に伴い、2013年11月5日以降は、そのルールが改正されました。

現在、空売り規制の対象銘柄は「トリガー方式」と呼ばれるルールが導入されています。「トリガー方式」とは、当日基準価格と比較して現在の公表価格が、10%以上株価が下落した価格に達した段階で空売り規制が適用されるのです。

この適用銘柄を「トリガー抵触銘柄」と呼ばれます。一度、トリガー抵触銘柄に適用された銘柄は、その時点から翌日の取引終了まで空売り規制が継続されます。

「トリガー抵触銘柄」は、日本取引所グループのホームページで公表されていますので一度、以下のURLよりご覧ください。

「空売り価格規制トリガー抵触銘柄」(日本取引所グループ)

2-4 具体的な規制ルール

では次に「空売り規制」の対象となる銘柄に対して、51単元以上の空売り注文が可能な場合、不可の場合を図解でご説明します。

旧ルールではすべての銘柄に対して「空売り規制」がかけられていましたが、2013年のルール改正後は、「トリガー抵触銘柄」のみ規制対処になるため、その他の銘柄については、通常通り、空売りが可能です。

直近公表価格が現在価格が10%以上下落した「トリガー抵触銘柄」に該当する場合のルールです。この場合は、空売り規制の対象になるので、以下のようなルールが適用されます。

 

あくまでも規制されるのは、信用取引の「空売り」取引です。現物株の売却については対象にはなりません。

普段、50単元以上の空売りをしない方は、あまり気にすることはありませんが、比較的、大口の空売りをする人は、必ずこのルールを守るようにしてください。

2-5 空売り規制が銘柄に与える影響とは

あくまでも僕個人的な私見ですが、空売り規制が銘柄に与える影響についてお伝えします。

「空売り」をした場合、将来に買い戻す(決済)ことが前提になります。つまり「将来の買い圧力」が溜まることになります。しかし「空売り規制」の対象になった銘柄は、なかなか大口の空売りを呼び込みにくくなるため、「将来の買い圧力」が溜まりにくいという結果を導くことになります。

「トリガー抵触銘柄」に指定されるということは、当日基準価格(多くは前日の引値)から10%以上株価が下落しているということなので、それまで対象銘柄は大きく上昇していることがほとんどだと思います。

つまり株価が下がり始めると同時に、将来の「買い圧力」となる空売りを呼び込みにくくなるということは、
よほど株価が上昇する材料が無い限り、株価は徐々に下がり始めることになるのだと思います。

これもさまざまなパターンがあると思うので一概には言えませんが、市場の安定性を狙う金融当局の立場から察するに、適正な株価の位置まで落ち着くことになるのだと思います。

 

3.「新規空売り禁止」措置とは

「空売り規制」では先ほどお伝えしたように、株数や価格の制限はあるものの、まったく空売りができないということではありません。

これからお伝えする「新規空売り禁止」の措置は空売りができないという措置です。ではどのような経過を経て「新規空売り禁止」となるのかを解説していきます。

3-1 株価が急騰した場合に「増し担保規制措置」が取られる

大型株ではそれほど多くはありませんが、小型株で普段はあまり流動性の少ない銘柄が、突如出来高を伴って急騰することがしばしば起こります。

俗に「仕手株」とか「材料株」とか言われますが、投機筋など思惑が働くような貸借銘柄が急騰し、あっという間に株価が2倍くらいになるようなとき。取引所は信用取引の過度な利用を防止するため、「日々公表銘柄」に指定します。

しかし、これでも株価の急騰が収まらない場合は「「委託保証金率」や「委託保証金」の引き上げを行います。これを「増し担保規制」といいます。

通常、信用取引では100万円の証拠金があれば、約3倍までの資金枠(レバレッジ)が確保されますが、「委託保証金率」が引き上げられた場合では、資金枠が縮小されます。

以下のチャートは、「北の達人コーポ(2930)」のチャートです。4月4日売買分から増し担保規制が入り、株価はストップ安まで急落しました。

このように普段、流動性の少ない銘柄が急騰し、増し担保規制が入った場合、規制を嫌って急落することが、しばしば起こりますので注意が必要です。

取引所は常に相場を監視しながら、規制のガイドラインに抵触した場合に規制するのです。

≪信用取引のガイドライン≫

 

3-2 空売りも急増すれば「株不足」になり「新規空売り禁止」になる

「空売り」というのは、株を持たずに「先に売る」という行為です。では、なんで「空売り」ができるかというと、空売り注文を受けた証券会社は、自社または証券金融会社で株券を調達します。

しかし、そもそも流動性の少ない銘柄が急騰することによって、空売り注文が殺到すれば当然、売却可能な株券が少なくなり「株不足」の状態に陥ります。

「株不足」になれば、売るための株券が調達することができなくなり、証券金融会社などは証券会社に対して、「もう株券を貸すことができません」という通知とともに、貸し株の制限や停止措置に踏み切ります。

あなたが取引している証券会社が、空売りしようとしている銘柄の株券を調達できなければ「新規空売り禁止」となり空売りをすることができなくなります。

ただこれは、証券会社によって異なり、たとえA社で空売りができなくなったとしても、株券を調達できる能力のある別の証券会社では空売りが可能な場合があるのです。

とはいいつつも「株不足」の状態には変わりはありませんので、いずれ「新規空売り禁止」になることはいうまでもありません。

3-3 「空売り禁止」になった銘柄はどうなる??

急騰する銘柄に介入している投機筋は、株価をもっと上げようとして、空売りをどんどん呼び込むように仕掛けていきます。

なぜなら先ほどもお伝えしたように「空売り」は、将来に買い戻す(決済)ことが前提になり、将来の買いエネルギーに変化するからです。

空売りがどんどん急増すればするほど、株価上昇によって空売りを仕掛けている投資家は含み損が多くなります。

「もうこれ以上、損はできない!」と、空売りの「買戻し」が発生し、株価上昇に拍車がかかることになります。これこそ投機筋の本当の狙いなのです。

しかし、増し担保規制や、空売り禁止の規制が導入されれば、株価上昇に歯止めがかかってくるのも事実です。

ピークを迎えた株価は、投機筋の売り抜けから「急落」する可能性が高まります。

以下のチャートは「大戸屋HD(2705)」の日足チャートです。3月9日から新規売り、現引き停止の規制が入りました。

「新規売り停止」の規制が入った直後、株価はさらに上昇しましたが、その後、急落するに至っています。

ただ「新規売り禁止」となったからといって、必ず急落するとは限りません。以前はその傾向が強かったのですが、最近では規制が入ってもさらに株価が急騰することもしばしば起っているようですので、「新規売り禁止」後の株価をよく監視しておく必要がありそうですね。

まとめ

「空売り規制」と「新規空売り禁止」銘柄の違いと具体例についてお伝えしてきましたが、この二つは明確に異なることをお分かりいただけたかと思います。

なにかしらの規制が入るということは、不公正な株価変動を是正するという意味合いが強いので、結局のところ、説明のつく株価水準に戻るというのが結論です。

一般投資家は、株価が急騰して規制が入るような銘柄への投資は考えないほうが良いのではないでしょうか。

紫垣英昭

 


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この記事をかいた人

紫垣 英昭

投資家 / オープンエデュケーション株式会社代表取締役。1964年大阪生まれ。甲子園出場経験者。大学卒業後、証券会社に勤務し、事業法人、金融法人営業、自己売買部門を担当。証券会社退職後、株式投資をはじめ、 日経225先物、FX等の売買指導を行い、個人投資家から絶大なる信頼を得ている。証券会社時代に培ったスキルを投資初心者でも理解できるよう売買指導を行い、今では3000人以上の受講生を抱え、「真に自立できる個人投資家」を輩出するために積極的に活動している。著書に『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』(幻冬舎)『億を稼ぐ投資法則』(ユウメディア)『少額資金で儲ける株ゴー ルデンルール』(ユウメディア)がある。