新型コロナで高騰!金、銀、銅、プラチナなどに連動する金属関連銘柄・ETF

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

新型コロナ禍では、株や仮想通貨、不動産の値上がりが続き、金や銀、銅、プラチナといった金属価格も高騰しました。

財政出動で世界的にカネ余りとなった資金が金属市場に流入してきていることや、資産を貴金属で保有したいと考える投資家が増えていることなどが金属価格上昇の背景です。

株式投資を通して金属価格上昇の恩恵を受ける方法としては、金属価格に連動するETFに投資する、金属事業を手掛けている金属関連銘柄に投資するという2つの方法があります。

今回は、金属価格が上昇する背景や金・銀・銅・プラチナ・パラジウム価格の動向について解説した上で、金属価格高騰で恩恵を受ける関連銘柄についてチャート付きでご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • 金属関連銘柄に投資する方法について学べる
  • 金属価格が上昇する背景や金・銀・銅・プラチナ・パラジウム価格の動向についてわかる
  • 金属価格高騰で恩恵を受ける関連銘柄についてチャート付きでわかる

新型コロナ禍では金属価格も高騰

新型コロナ禍では、株や仮想通貨の高騰が相次ぎましたが、金や銀、銅、プラチナといった金属価格も高騰を続けています。

詳しい価格動向は後から見ていきますが、金と銀の価格は新型コロナ禍で史上最高値を付け、銅とプラチナ価格はコロナ禍で大反発となりました。

金属価格が高騰を続ける背景には、新型コロナ対策として世界中で財政出動されたマネーが金属市場に向かっているという説が最有力です。

また、財政出動のし過ぎから、各国の財政は厳しい状況となっており、この状況にリスクを感じた投資家が資産を金属で保有しておきたい動きが出てきているとも考えられます。

さらには、アメリカ市場でゲームストップ株を高騰させるなどして存在感を増している個人投資家集団”ロビンフッダー”が、ゲームストップ株に続いて銀先物を高騰させる事態にも発展しています。

一時的な現象とはいえ、銀先物が投機の対象に選ばれるということは、それだけ新型コロナ禍で金属市場が注目されていることに他なりません。

金属価格に連動する銘柄とは?

株式市場において、金や銀、銅、プラチナといった金属価格が上昇することで影響を受けるセクターとしては、金属価格に連動するETF(上場投資信託)と金属事業を手掛けている金属関連銘柄の2つがあります。

金属価格に連動するETF

金などの金属価格に連動するETFは「商品先物ETF」や「コモディティーETF」とも呼ばれています。

純金積み立てなどで金属に直接投資する場合に比べると、商品先物ETFは手数料が圧倒的に安いことがメリットとなっており、株式投資の延長線上で金属投資をすることが可能です。

例えば、SBI証券の純金積み立てサービスの手数料は税込み2.2%(2021年3月時点)である一方、金価格連動型ETFである【1540】純金上場信託(現物国内保管型)の手数料(信託報酬)は0.44%となっています。

ただし、金属価格に連動するETFでは、配当金は一切出ないことはデメリットです。

金属関連銘柄

金属に関係する事業を手掛けている金属関連銘柄は、金属価格が上昇すると業績にプラスとなることが好感されて買われやすいことが特徴です。

金属関連銘柄としては、鉱山事業を手掛ける資源企業(鉱山株)や非鉄金属企業、都市鉱山からの貴金属リサイクルを手掛ける銘柄などが挙げられます。

金属関連銘柄は配当利回りが大きい銘柄も少なくないため、金属価格上昇の恩恵を受けつつ配当金を受け取ることも可能です。

新型コロナ禍で金属価格はどうなっている?

新型コロナ禍において、代表的な金属である金、銀、銅、プラチナ、パラジウム価格がどのようになっているのかを見ていきましょう。

貴金属の代表とも言える金は、地球上での埋蔵量が限られていることもあり、人類の歴史上、現在に続くまで絶対的な安全資産に位置付けられています。

世界経済リスクが表面化すると買われることが特徴です。

金価格に連動する代表的なETF【1540】純金上場信託(現物国内保管型)の動向を見てみましょう。

【1540】純金上場信託(現物国内保管型)の月足チャート

 

金価格は、2014年から2018年までは横ばいとなっていましたが、2019年から上昇トレンドになっていることが分かります。

新型コロナ禍では一段高となり、2020年7月末~8月初めに掛けて最高値を付けました。

2020年夏に最高値を付けてからは下落していますが、暴落はしておらず、高値圏で調整となっている状況です。

銀は、かつては貴金属用途が主でしたが、現在は電子機器や太陽光パネルの製造といった工業用途で広く使われている金属です。

銀価格に連動するETF【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)の動向を見てみましょう。

【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)の月足チャート

銀価格は、2014年から2019年まではジワジワと下落していましたが、2020年には下落トレンドを全て取り戻す大反発となりました。

2020年8月に最高値を付けましたが、2021年3月時点でも高値圏で推移しています。

銅は、電気伝導性や熱伝導性が高い性質から、電線やモーター、熱交換器など工業用途で広く使われている金属です。

直近5年分の銅価格を見ていきましょう。

なお、銅価格に連動するETFは上場していません。

銅先物価格の5年分チャート(引用:https://jp.tradingview.com/symbols/COMEX-HG1!/)

銅価格は、2018年から2020年3月までは停滞気味でしたが、コロナショック以降は一段高となっており、コロナショックから1年で2倍の上昇となっています。

プラチナ(白金)

プラチナ(白金)は、化学反応しにくい性質のため、装飾品や触媒として使われている貴金属です。

プラチナ価格に連動する代表的なETF【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)の動向を見てみましょう。

【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)の月足チャート

プラチナ価格は、2014年から2019年に掛けて厳しい状況となっていましたが、2020年から2021年に掛けて大反発となっています。

パラジウム

パラジウムは、宝飾品や触媒として使われている希少金属です。

南アフリカの鉱山閉鎖が相次いだことで希少性が増していることから、新型コロナ前の金属相場ではパラジウム一強の状態となっていました。

パラジウム価格に連動するETF【1543】純パラジウム上場信託(現物国内保管型)の値動きを見てみましょう。

【1543】純パラジウム上場信託(現物国内保管型)の月足チャート

パラジウム価格は、2016年2月から2020年2月の4年間で5倍以上となる上昇トレンドとなっていましたが、2020年は調整となっています。

リスクが高い金属であるため、金のような長期投資にはリスクがあります。

金属価格上昇の恩恵を受ける銘柄7選!

金属価格上昇の恩恵を受ける金属関連銘柄を押さえておきましょう。

【5713】住友金属鉱山

非鉄金属大手の【5713】住友金属鉱山は、日本株を代表する金属関連銘柄・鉱山株です。

同社は、銅・ニッケル・コバルトから、金・銀・プラチナ・パラジウムといった貴金属まで幅広く手掛けています。

【5713】住友金属鉱山の月足チャート

住友金属鉱山の株価は、2020年から2021年に掛けて大きく反発していることが分かります。

金属価格に連動した値動きになっていると言えるでしょう。

【5706】三井金属

非鉄大手の【5706】三井金属は、銅箔で世界トップクラスであることが知られている代表的な金属関連銘柄です。

【5706】三井金属の月足チャート

三井金属の株価は、長期的には厳しく見えますが、2020年から2021年に掛けては銅などの金属価格に連動した値動きとなっています。

【5711】三菱マテリアル

総合材料メーカーの【5711】三菱マテリアルは、伸銅品に強く、金属関連銘柄に位置付けられます。

【5711】三菱マテリアルの月足チャート

三菱マテリアルの株価は、長期的に停滞しており、新型コロナ相場でも厳しい状況となっています。

銅に強い銘柄であるものの、銅価格に連動しているとは言えません。

【5724】アサカ理研

金属価格に連動しやすい金属株としては、都市鉱山からの貴金属リサイクルを手掛ける銘柄も注目セクターです。

貴金属リサイクルを手掛ける銘柄は、都市鉱山関連銘柄とも呼ばれます。

水晶デバイスやLED、パワーデバイスといった電子部品からの貴金属リサイクルを手掛けている【5724】アサカ理研は、代表的な都市鉱山関連銘柄です。

【5724】アサカ理研の月足チャート

アサカ理研の株価は、コロナショックで付けた2020年3月の415円から、2020年12月には2312.5円を付けました。

2020年には最大5倍以上の上昇となっています。

【5857】アサヒホールディングス

都市鉱山リサイクルや北米で鉱山由来の金・銀の精錬事業を手掛ける【5857】アサヒホールディングスは、配当利回りが高い金属株として知られています。

【5857】アサヒホールディングスの月足チャート

アサヒホールディングスの株価は、金属価格に連動するように新型コロナ禍で大きく上昇しました。これだけ大きな上昇となったにも関わらず、配当利回りは4%以上という高配当株でもあります。

【7456】松田産業

自動車や電機などのエレクトロニクス産業からの貴金属リサイクルを手掛ける【7456】松田産業は、都市鉱山に強い金属関連銘柄です。

【7456】松田産業の月足チャート

松田産業の株価は、金属価格に連動するように2020年から2021年に掛けて大きく反発していることが分かります。

【1491】中外鉱業

金やプラチナの貴金属リサイクルを手掛ける【1491】中外鉱業は、ボロ株の金属関連銘柄として2020年に急騰しました。

【1491】中外鉱業の月足チャート

中外鉱業の株価は、金と銀が最高値を付けた2020年7月から8月に掛けて急騰しました。

コロナショックで2020年3月に付けた13円から、2020年8月には69円まで5倍以上の上昇となっています。

まとめ

今回は、金属価格が上昇する背景や各金属価格の動向について解説した上で、金属価格に連動するETFや金属価格高騰で恩恵を受ける関連銘柄についてチャート付きでご紹介してきました。

世界中で財政出動したマネーは金属市場にも流入しており、金や銀、銅、プラチナといった金属価格は新型コロナ禍で大きく上昇しています。

株式市場では、金属価格の上昇に連動して金属関連銘柄が買われており、【5713】住友金属鉱山や【5706】三井金属といった主力銘柄を始め、都市鉱山からの貴金属リサイクルを手掛ける【5857】アサヒホールディングスや【1491】中外鉱業など多くの銘柄が上がりました。

新型コロナ対策で世界中がカネ余りとなる状況では、資産を金属に逃避させる動きは今後も続く可能性が高いものと見られます。

今後も金属価格の上昇とともに、金属関連銘柄を押さえておきましょう。

紫垣 英昭