投資・金融の基礎知識から背景まで学べる!オススメ映画9選

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

株を含め、投資や金融、経済をテーマにした映画は多いですよね。

特に「リーマンショック」は歴史的な金融危機にまで発展したことで、多くの映画で扱われました。

その他にも歴史的な金融事件にフォーカスしたドキュメンタリーや映画もいろいろあります。

そういった金融事件の背景が垣間見れる映画は、これから投資を始めたいと思っている人にとっても興味深いものだと思います。

ここでは、そんな投資や金融にまつわるおススメの映画をまとめてみました。

単にエンターテイメントだけではなく投資の知識を付けるのにも役立つものもあるので、ぜひ楽しみながら学んでもらえたらと思います。

この記事を読んで得られること
  • 投資や金融にまつわるおススメの映画がわかる
  • 英語を楽しみながら投資の知識を学べる
  • 投資知識を身に付けるための映画の見方がわかる

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』

2016年3月公開

アカデミー賞5部門にノミネートされ大ヒットとなった『マネーショート 華麗なる大逆転』

観た人も多いのではないでしょうか。

この映画は、映画「マネーボール」の原作者マイケル・ルイスの「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を原作にした作品で、
かの“リーマンショック”を誰よりも早く察知し、その裏側で仕掛け大儲けをした4人の男たちを描いた物語です。

実話をもとにノンフィクションで描かれているので、リーマンショックの実情も垣間見える面白い映画です。

住宅バブルで好景気に沸くウォール街で、いち早く経済の危険に気付いた4人のトレーダーが世界経済の破綻を予測。

強敵の大手金融機関を相手に空売り(ショート)の大勝負を仕掛け熾烈な駆け引きを行っていく、というエキサイティングな展開です。

僕がこの映画を見て印象に残ったのは、ヘビーメタルを愛聴するトレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)が、住宅バブル崩壊を予測し大量のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を取得したものの、住宅市場の好景気が続く中で大きな含み損を抱えたマイケルの苦悩がとても印象的でした。

信念に基づいて取ったポジションは時に、トレーダーを窮地に追いやることがたびたび起こります。

この窮地を乗り越える一人のトレーダーの心理をドキドキしながら感じとれ、金融の知識も知ることができるので、おすすめの映画と言えるでしょう。

 

『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 』

インサイドジョブというのは、「内部犯行」という意味です。

この映画はリーマンショックを描いた作品で、「リーマンショックは内部にいた人間の犯行である」というメッセージが込められたドキュメンタリーです。

映画としてのストーリー性は薄いですが、リーマンショック前後の世界的な金融危機の実態を知るにはとても参考になります。

有名金融機関の関係者や政治家、ヘッジファンドの大物などが登場し、インタビューを中心に業界の闇と問題を浮き彫りにしています。

2008年9月、アメリカの投資銀行リーマンブラザーズが経営破綻し、それをきっかけに世界的な金融危機へと発展。

アメリカ金融業界はそれ以前からサブプライムローンなどの問題を抱えていたため、一気に経済が傾き経済恐慌に陥りました。

住宅ローン問題、リーマンショック、世界経済恐慌、、、それらの裏側を垣間見ることで、今後の投資に対する考えを持つには良い映画だと思います。

 

『ハゲタカ』

こちらは日本の映画です。

2007年に放映された真山仁原作のTVドラマ『ハゲタカ』を映画化したもので、“企業買収”を題材にリアルなマネー・ゲームの様子をドキュメンタリー・タッチで描いています。

ストーリーとしては、日本の基幹産業である大手自動車メーカーに買収を仕掛ける中国系ファンドと、ハゲタカの異名を持つ天才ファンドマネージャーがそれを阻止しようと繰り広げる激しいマネーウォーズの様子を描いています。

企業買収という投資とは少し観点が違いますが、巨額なお金が動くマネーゲームは日本の金融危機を映し出すものとして興味深く楽しめると思います。

エンターテイメントとしても十分楽しめる映画なのでおすすめです。

 

『マネー・トレーダー 銀行崩壊』

 

『マネー・トレーダー』は1998年にイギリスで制作された実録映画で、たった一人のトレーダーによって引き起こされた名門銀行の破綻事件を、張本人ニック・リーソンの獄中手記をもとに完全映画化したものです。

お金がもたらす反映と没落を表現したリアルな展開が観ていて引き込まれます。

1995年、約1380億円の巨額の損失を計上し、女王陛下の投資銀行とまで言われたイギリスの名門ベアリングズ銀行が破綻。

主人公となるニック・リーソンは、ベアリングズ・シンガポールの先物取引部門責任者であった。

運用で損失を出したリーソンは、客の資産に手をつけどんどん損失を膨らませていく。

損失はあっという間に膨れ上がり1380億という莫大な損失を出し銀行を破綻へと追い込んでしまった。

投資がはらむ危険性を疑似体験させるような展開のため、資金コントロールやリスクを踏まえた投資の大切さを再認識できるでしょう。

投資家ならぜひ観ておきたい映画です。

 

『ウォール街』

 

1987年に公開された『ウォール街』は、ウォール街の投資銀行を舞台にした映画で、日本でもこの映画をきっかけに投資銀行を目指す若者が増えたり、ファッションを真似る人が続出するなど大きな社会現象を巻き起こした話題作です。

ストーリーは、野心の強い若手証券マン「パド」と冷酷で貪欲な投資銀行家「ゴードン・ゲッコー」の刺激的なマネーバトルを描いています。

株や投資に詳しくない人でも十分楽しめるドラマチックなストーリー展開なので、おすすめの映画です。

 

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

 

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、実在する株式ブローカーの回想録を映画化したもので、1987年に起きた「ブラックマンデー」という史上最大の株の暴落で仕事を失った新人証券マンが成り上がっていくストーリーです。

1980年代から90年代のウォール街で若くして大金を稼いだジョーダン・ベルフォートの生涯をレオナルド・ディカプリオが演じています。

ウォール街の投資銀行で働き始めた22歳のジョーダン・ベルフォートは、大した学歴はないものの巧みな話術で人々の心をつかみ、破竹の勢いで成り上がって行った。

そして26歳という若さで証券会社を設立し、年収49億円を稼ぐまでになっていた。

富と名声を手に入れたジョーダンはウォール街のウルフと呼ばれ、強欲に溺れた生活を送る。

しかし、順風満帆の彼の人生に大きな転落劇が待ち構えていた…。

投資が持つ可能性を知ることもできるし、主人公の成功や転落といったストーリー性で楽しむこともできる面白い映画です。

投資家として楽しめる作品ですので、おすすめです。

 

『キャピタリズム~マネーは踊る』

 

『華氏911』『シッコ』で知られるマイケル・ムーア監督による、痛快マネーエンターテインメント映画です。

貧困にあえぐ低所得労働者の現状を描きながら、1%の富裕層が底辺の95%より多い富を独占しする行き過ぎた資本主義に警告を発し、

2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの経営破綻が引き金となった“100年に一度”の世界同時不況へと切り込んでいくドキュメンタリーです。

サブプライムローン問題や国税7000億ドルでの不良債権買取などの現代のアメリカ社会を痛烈に批判する内容で、金融業界のからくりが垣間見えるので興味深く楽しめる映画です。

シリアスな話題であってもムーア監督らしいユーモアを持って描かれているので、決して暗い映画ではなく楽しく観ることができます。

金融や経済という莫大なお金が動く陰では、現実にどういったことが起こっているのかなどをリアルに実感することができるのでおすすめの映画と言えます。

 

『おいしいコーヒーの真実』

 

コーヒーは世界市場においては石油に次ぐ貿易商品であり、年間800億ドルを超える売上をほこる超巨大なマーケットだというのを知っていますか?

私たち日本人にもとても馴染みの深いコーヒーですが、その生産者は実は悲惨な状況に追い込まれているというのです。

一日に消費されるコーヒーの量は全世界でおよそ20億杯。

しかしほとんどの生産者が貧困にあえぎ、農園すら手放すほど悲惨な状況に追い込まれていると言います。

大きなリターンとして彼らに還元されるはずが、その資金は一体どこに消えているのか。

エチオピアの多くのコーヒー農家を束ねるコーヒー農協連合会の代表が、公正な取引(フェアトレード)を求め奔走する姿をドキュメンタリーで描いた作品です。

コーヒーがどこで作られどのように流通するのか、そして極度の貧富差を生むコーヒー業界の巧妙な“からくり”が暴かれています。

この映画は投資とは少し観点が違うものではありまますが、石油に次ぐほどの世界主要取引商品の裏側を知ることで、投資に対しての考えも変わるかもしれません。

公正(フェア)なトレードとは何なのか。
楽しみながら考えさせられる作品です。

 

『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』

 

2005年に公開されたこの映画は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門などにノミネートされ大きな話題となりました。

エンロンは創立以来15年で売上高約13兆円、世界第16位というエネルギー業界で大躍進を遂げた大企業でした。

その躍進中の大企業が突如破綻に追い込まれた事件。

失業者2万人、負債総額2兆円という世界を震撼させた事件の全貌をドキュメンタリーとして描かれています。

今世紀最大とも言われる企業スキャンダルを暴いた内容で、とても興味深い作品です。

株価の大暴落がいかにして起きたのかを実録を元に知れるので、今後株式投資を行っていく上でもおすすめの映画です。

 

まとめ

株式投資を含め金融にまつわるおすすめ映画をご紹介してきました。

映画は必ずしも事実のみを描写しているものではなく当然、脚色が加えられていますので、映画のストーリーのすべてを事実として捉えることはできません。しかし難解な投資、金融、経済をなるべく面白く学べるツールであることに違いはありません。

映画で見聞きした“キーワード”を調べたり、関連書籍を学ぶことで実際に起きた事象の本当の知識を得ることができるはずです。

ぜひそのような観点から映画を観ていただき、今後の株式投資に活かしていただければと思います。

 

紫垣 英昭

この記事をかいた人

投資家 / オープンエデュケーション株式会社代表取締役。1964年大阪生まれ。甲子園出場経験者。大学卒業後、証券会社に勤務し、事業法人、金融法人営業、自己売買部門を担当。証券会社退職後、株式投資をはじめ、 日経225先物、FX等の売買指導を行い、個人投資家から絶大なる信頼を得ている。証券会社時代に培ったスキルを投資初心者でも理解できるよう売買指導を行い、今では3000人以上の受講生を抱え、「真に自立できる個人投資家」を輩出するために積極的に活動している。著書に『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』(幻冬舎)『億を稼ぐ投資法則』(ユウメディア)『少額資金で儲ける株ゴー ルデンルール』(ユウメディア)がある。