5月相場の投資アノマリー「セルインメイ」は本当?売られやすい銘柄は?

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

株式市場では、5月相場は「セルインメイ」で売られやすい傾向があるという相場格言があります。

ただ、NYダウや日経平均株価を見てみると、近年の5月相場はむしろ上昇している月の方が多い傾向となっています。

しかし、2013年や2019年の5月相場は暴落となり、一部の銘柄では転換点となりました。

新型コロナ禍で上昇を続ける2021年の5月相場は注意が必要かもしれません。

今回は、5月相場の相場格言「セルインメイ」について解説した上で、過去の5月相場について検証し、2021年の5月相場で売られるかもしれない銘柄についても解説していきます。

5月相場の格言「セルインメイ(Sell in May)」について押さえておきましょう。

この記事を読んで得られること
  • 5月相場の相場格言「セルインメイ」についてわかる
  • 過去の5月相場について検証できる
  • 2021年の5月相場で売られるかもしれない銘柄についてわかる

5月相場の相場格言「セルインメイ」とは?

5月相場の格言「セルインメイ(Sell in May)」について押さえておきましょう。

5月の相場格言「セルインメイ」

5月の相場格言として知られる「セルインメイ(Sell in May)」は、アメリカの株式市場で生まれた相場格言です。

アメリカを代表する株価指数であるNYダウは、5月を境に下落していく傾向があることから生まれた相場格言とされています。

また、この相場格言は「Sell in May」の部分が有名ですが、相場格言の全文は次のようになっています。

「Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day.」

これを翻訳すると、「5月に売りなさい。9月の第二土曜日までは市場に戻ってきてはいけない」となります。

つまり、5月の相場格言「セルインメイ」とは、5月に暴落が起こりやすいという意味ではなく、5月以降の夏場に掛けて市場が軟調となる傾向を意味するものです。

5月相場で売られやすい理由

5月相場は売られやすい理由としては、下記のようなさまざまな理由が挙げられています。

・ヘッジファンドの決算は5月に多く、ヘッジファンドが利益拡大するための売りが出やすい。

・5月以降の夏場に入ると、原油の需要が下がるため、石油メジャー株を中心に売られやすくなる。

・個人投資家が年末に信用買いした売りが出る(信用買いの期限は半年のため、5月は年末から約半年後にあたる)。

・アメリカの税制度では、還付金が1月から5月まで続く。

この還付金による買いが5月以降はなくなるため、5月以降の市場は弱くなる。

・相場格言「セルインメイ」のアノマリーを信じて、投資家が5月に売りやすくなる。

このように5月相場のアノマリーを裏付けるさまざまな説が言われていますが、どの説も決定的ではなく、特にこれといった裏付けがあるわけではありません。

過去の5月相場を徹底検証!

5月の相場格言「セルインメイ」は本当なのでしょうか?

NYダウと日経平均株価について過去の5月相場を検証してみましょう。

NYダウの5月相場

次のチャートは、NYダウに連動するETF【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信の株価チャートとなります。

【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信の月足チャート

2013年5月から2020年5月までの8年分の5月相場を見てみると、むしろ上昇している月の方が多いことが分かります。

2019年5月には陰線となり大きく下げましたが、その他は好調です。

NYダウの5月の値動きについて表にしてみると次の通りです。

※上記チャートは連動ETFですが、こちらの表はNYダウのものとなります。

5月始値

5月終値

値動き

2013年

14,839.80

15,115.57

+275.77

2014年

16,580.26

16,717.17

+136.91

2015年

17,859.27

18,010.68

+151.41

2016年

17,783.78

17,787.20

-3.42

2017年

20,962.73

21,008.65

+45.92

2018年

24,117.29

24,415.84

+298.52

2019年

26,639.06

24,815.04

-1,824.02

2020年

23,932.10

25,408.14

+1,476.02

直近8年間の5月のNYダウの値動きを見てみると、上昇が6回、下落が2回となっており、上昇の方が目立っています。

ただ、「セルインメイ」の相場格言が真に意味する5月~9月第二週という観点で見てみると、多くの年で5月から9月まで停滞しており、9月以降に上昇トレンドが始まっていることが見てとれます。

日経平均株価の5月相場

続いて、日経平均株価の5月相場を見ていきましょう。

日経平均株価の月足チャート

NYダウ同様に、むしろ5月は陽線が多く、上昇が目立っています。

アベノミクス相場からの暴落があった2013年5月は上ヒゲとなっており、2019年は大きな下落となりました。

日経平均株価の5月の値動きについて表にしてみると次の通りです。

5月始値

5月終値

値動き

2013年

13,799.35

13,774.54

-24.81

2014年

14,485.13

14,632.38

+147.25

2015年

19,531.63

20,563.15

+1,031.52

2016年

16,147.38

17,234.98

+1,087.6

2017年

19,310.52

19,650.57

+340.05

2018年

22,508.03

22,201.82

-306.21

2019年

21,923.72

20,601.19

-1,322.53

2020年

19,619.35

21,877.89

+2,258.54

直近8年間の5月の日経平均株価の値動きを見てみると、上昇が5回、下落が3回となっています。

2015年、2016年、2020年には大きな上昇となり、2019年は大きな下落となりました。

過去に大きく売られた5月相場ではどうなっていた?

日経平均株価が特に大きく売られた2013年5月、2018年5月、2019年9月について見ていきましょう。

.2013年の5月相場

2013年の5月相場は、2012年12月から始まったアベノミクス相場が調整入りとなり、大荒れの相場展開となりました。

日経平均株価の週足チャート(2013年)

特に、2013年5月23日には、日経平均は-1,123円の大暴落に。

アベノミクス相場の初期で大きな上昇となっていた銘柄を中心に暴落銘柄が続出することになりました。

特に、アベノミクス相場で100倍近い暴騰となった【3765】ガンホーの暴落が始まった月となりました。

【3765】ガンホーの週足チャート(2013年)

 

ガンホーが代表的ですが、新興銘柄の中には、2013年5月に上場来高値を付けてから、2021年に入ってからも停滞が続いている銘柄は少なくありません。

【3765】ガンホーの月足チャート

 

2018年の5月相場

2018年の5月相場は、月間ではマイナスとなりました。

日経平均株価の週足チャート(2018年)

2018年5月は中旬までは上昇しており、下旬以降から下げに転じました。

週足チャートで見てみると、そこまで大きな暴落となったわけではありません。

2019年9月

平成から令和に変わった直後の2019年の5月相場は、一方的な下落相場となりました。

日経平均株価の週足チャート(2019年)

改元へのご祝儀相場とはならず、日経平均は大きく落とすことになりました。

ただ、週足チャートで見てみると、2019年に入ってから4ヵ月続いた上昇の調整になっていたことが分かります。

2019年5月には、代表的な景気敏感株である半導体関連銘柄などが売られる展開となりました。

【7735】スクリーンホールディングスの週足チャート(2019年)

2021年の5月相場で売られるかもしれない銘柄は?

過去の日経平均株価を見てみると、5月相場が売られる展開となった2013年と2019年には、それまでの上昇の反動から売られていたことが分かります。

新型コロナ禍での株高が続く2021年の5月相場も、2013年や2019年のように大きく売られる展開となっても不思議ではありません。

2021年の5月相場が「セルインメイ」になった場合に備えて、どのような銘柄が売られるかもしれないかを押さえておきましょう。

半導体関連銘柄

半導体関連銘柄は、2019年の5月相場でも大きく売られましたが、2021年の5月相場でも注意が必要です。

半導体需要は新型コロナ禍でも絶好調で、半導体株は2021年に入ってからもその勢いは留まる所を知らない状況となっています。

【6920】レーザーテックの週足チャート

日本株の半導体株としては半導体製造装置メーカーが主力となっていますが、【8035】東京エレクトロンや【6857】アドバンテスト、【6920】レーザーテックなどは2021年4月時点でも上場来高値を更新し続けており、2021年の5月相場では注意が必要になるかもしれません。

大きく上昇している新興銘柄

アベノミクス相場の調整となった2013年の5月相場では、ガンホーやバイオベンチャーなど、それまで大きな上昇を続けてきた新興銘柄が暴落することとなりました。

2021年の5月相場でも、新型コロナ相場で上昇し続けている銘柄には注意が必要かもしれません。

【7078】INCLUSIVEの週足チャート

上記チャートの【7078】INCLUSIVEのように、新型コロナ相場で大きく上昇している新興銘柄は少なくありません。

そのような銘柄を手掛けている場合には、2021年の5月相場は注意が必要になる可能性があります。

アベノミクス相場の転換点となった2013年5月に暴落後、その高値を超えられないまま7年以上停滞し続けている銘柄が少なくないことは心に留めておきましょう。

新興銘柄で暴落が起こった場合には、早めの損切りをして、塩漬けにしないことが重要です。

まとめ

今回は、5月相場の相場格言「セルインメイ」について解説した上で、過去の5月相場について検証し、2021年の5月相場で売られるかもしれない銘柄についても解説してきました。

5月相場の相場格言として知られる「セルインメイ(Sell in May)」は、正確には5月に暴落が起こりやすいという意味ではなく、5月以降の夏場に掛けて市場が軟調となる傾向があることを意味するものです。

NYダウを見てみると、5月に暴落している傾向はなく、相場格言が意味する通り、5月から9月初めに掛けて軟調になっている傾向を見て取ることができます。

過去の日本株の5月相場を振り返ってみても、近年は上昇している傾向が見てとれます。

ただ、2013年5月はアベノミクスが始まってから初の暴落相場となり、2019年にも大きな下落となりました。

2021年の5月相場は、新型コロナ禍の株高で迎えることになりそうですが、「セルインメイ」の相場格言通り、一つの転換点となる可能性は留意しておいた方がよいでしょう。

半導体関連銘柄や一部の新興銘柄など、新型コロナ相場で下落の兆しが見えない銘柄には、注意が必要な5月相場になるかもしれません。

紫垣 英昭