株式市場2020年の年末相場はどうなる?直近5年分のチャートから徹底予測!

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

「年末相場は上がりやすい」と言われていますが、近年は米中貿易摩擦やイラン問題などで苦しい展開が目立ちます。

ただ、年始の大発会は新年への期待を込めて買われるご祝儀相場となることが多く、注目銘柄は特に大きな値上がりになりやすいためチャンスが多いことも確かです。

2020年の年末相場は新型コロナ第三波が懸念される一方で、ワクチンの開発やオリンピックの開催といった希望が持てるニュースも少なくありません。

今回は、年末相場の特徴や2015年~2019年までの過去5年間の年末相場について振り返った上で、2020年の年末相場の動向や買われそうな銘柄、注意点について解説していきます。

この記事を読んで得られること
  • 年末相場の特徴、2015年~2019年までの過去5年間の年末相場について振り返ることができる
  • 2020年の年末相場の動向、買われそうな銘柄、注意点がわかる
  • 2021年の大発会にチェックしておきたい株式テーマがわかる

年末相場とは?

年末相場とは、年末年始に掛けての相場動向のことを指します。

東京証券取引所では、1年間の取引最終日は「大納会(だいのうかい)」、1年の初めに取引が開始される日は「大発会(だいはっかい)」と呼ばれており、大体的なイベントも開催されます。

大納会では、その年の顔となった人をゲストに呼び、立会終了の鐘を鳴らすことが恒例です。

大発会では、若い女性たちが晴着姿で参加して、1年の取引開始の鐘を鳴らすことが東証の風物詩となっています。

大納会は原則として12月30日となっており、12月30日が休日の場合はその直前の営業日となります。

大発会は原則として1月4日となっており、1月4日が休日の場合にはその翌営業日に行われます。

2020年の大納会は2020年12月30日(水曜日)、2021年の大発会は2021年1月4日(月曜日)と原則通りです。

ただ、2020年は新型コロナ感染拡大防止のため、大納会・大発会ともに規模を縮小して行われることが決定しており、大納会でのゲスト参加も、大発会での晴着の方の参加もないと発表されています。

2020年の大納会・大発会カレンダー

年末相場の最大のリスクは、大納会から大発会の間は休場となることです。

年末相場(大納会・大発会)は華やかな雰囲気で行われ、ご祝儀相場が期待できる面もありますが、持ち越しリスクがあることに注意しておきましょう。

直近5年間の年末相場はどうなっていた?

「年末相場はご祝儀相場になるから株価は上がりやすい」と相場格言のように言われることがありますが、本当でしょうか?

直近5年間(2015年~2019年)の年末相場について、日経平均株価で確認してみましょう。

2015年の年末相場

2015年の年末相場は、年明けに掛けて大波乱となりました。

2015年末の日経平均株価の日足チャート

2015年の大納会は12月30日、2016年の大発会は1月4日でした。

大納会には上昇したものの、大発会は大きく下落していき、2016年1~2月の暴落相場へと突入していきました。

中国経済の減速が嫌気され、円高が大きく進行したことが株安となった背景です。

2016年の年末相場

トランプ大統領誕生直後の2016年の年末相場は、ご祝儀相場となりました。

2016年末の日経平均株価の日足チャート

2016年の大納会は12月30日、2017年の大発会は1月4日でした。

大納会はトランプ大統領誕生からの上昇相場の利益確定売りが出たことから下げましたが、大発会はご祝儀相場に。

ただ、大発会以降は下げています。

株価チャートを見てみると、トランプ大統領誕生から年末にかけて上昇トレンドとなっており、年末相場に利益確定売りが出て売られたのも仕方ない動きとなっていたことが分かります。

2017年の年末相場

2017年の年末相場も、ご祝儀相場となりました。

2017年末の日経平均株価の日足チャート

2017年の大納会は12月29日、2018年の大発会は1月4日でした。

大納会は横ばいでしたが、大発会には大きく上げたことが分かります。

2018年の年末相場

2018年の年末相場は、米中貿易摩擦の煽りを受けた暴落相場となりました。

2018年末の日経平均株価の日足チャート

  2018年の大納会は12月28日、2019年の大発会は1月4日となり、休場日が例年より2日多くなっていました。

日経平均は2018年10月に付けていた24,000円台から12月には一時19,000円を割り込む展開に。

大納会・大発会ともに下落しており、米中貿易摩擦による暴落相場の影響が年末相場にも現れていたことが分かります。

日本では新元号が期待されていたものの、ご祝儀相場にはなりませんでした。

ただ、日経平均はこの年末に安値を付け、2019年は緩やかな上昇相場に。2018年の年末相場は絶好の押し目だったことになります。

2019年の年末相場

オリンピックイヤーが期待された2019年の年末相場は、年末相場の持ち越しリスクが表出してしまう展開となりました。

2019年末の日経平均株価の日足チャート

2019年の大納会は12月30日、2020年の大発会は1月6日となり、休場日が例年より2日多くなっていました。

大納会は下落し、大発会には大きく下げました。

大発会に大きな下落となった背景には、2020年1月3日にアメリカがイラン革命防衛隊司令官のソレイマニ氏を殺害したと声明を出したことで、中東リスクが再燃したことが要因です。

まさに、年末相場のリスクが出てしまったと言えます。

その後、イラン問題は収束して株価も戻っていきましたが、株式市場は新型コロナウイルスというさらなる大きな問題に直面していくことになります。

年末相場に上がりやすい銘柄とは?

直近5年間の年末相場を見てみると、米中摩擦やイラン問題などで下げている展開が目立ちますが、年始の大発会にはご祝儀相場となって上げている展開も見られます。

特に、新年に期待されるテーマ株は、ご祝儀相場として上がりやすい傾向があると言えます。

2018年の年末相場は米中貿易摩擦によって下げましたが、日本では新元号が期待されていたことから新元号関連銘柄は大きく上がりました。

包装資材や紙製品製造大手の【7919】野崎印刷紙業は、カレンダー大手としても知られており、新元号への期待から2018年の年末相場には大きく買われました。

2018年末の【7919】野崎印刷紙業の日足チャート

野崎印刷紙業の株価は、2018年12月25日には292円まで下落していましたが、2019年1月8日は一時458円まで上げています。

この年末相場で最大+50%以上の上昇となりました。

また、2019年から2020年に掛けての年末相場はイラン問題で大きく下げましたが、逆に大きく上げた銘柄もあります。

それはズバリ、防衛関連銘柄です。

海上自衛隊向けの機雷などを手掛ける【6208】石川製作所は、2020年の大発会からストップ高となりました。

2019年末の【6208】石川製作所の日足チャート

石川製作所を始め、【4274】細谷火工や【6203】豊和工業などの防衛関連銘柄は2019年の年末相場では最強の銘柄となりました。

2020年の年末相場に買われそうなテーマ・銘柄候補

2020年の年末相場に買われそうなテーマや銘柄候補についていくつか抑えておきましょう。

ワクチン開発関連銘柄

2020年12月時点では新型コロナ第三波の拡大が懸念されていますが、その一方で、ファイザーやモデルナがワクチンの開発に成功し、イギリスではファイザーのワクチン接種が始まるといった希望の持てるニュースが入ってきています。

2020年の年末相場では、新型コロナの「ワクチン開発関連銘柄」は期待感から買われてもおかしくありません。

大阪大学と共同でワクチン開発を手掛ける【4563】アンジェスや、アンジェスをワクチン開発でサポートする【4974】タカラバイオといったバイオベンチャー株が再び買われる可能性が考えられます。

東京オリンピック関連

2021年に期待される最大のイベントは、なんといっても東京オリンピックです。

新型コロナの感染拡大は全世界的に止まらない状況となっていますが、ワクチンが広く行き渡れば、開催される可能性は十分にあります。

また、スポーツの世界大会は既に開催されており、日本でもプロ野球が日本シリーズを無事開催するなど、感染対策を万全にして行えばオリンピックの開催は不可能とは言えません。

オリンピック関連銘柄は2020年に大きく売られてしまいましたが、広告代理店大手の【4324】電通グループや、【7936】アシックスや【8022】ミズノといったスポーツ株などが買い戻されるかもしれません。

菅政権の政策関連(デジタル庁、環境政策など)

デジタル庁や環境政策といった菅政権の政策に関連する銘柄は、既に大きく買われていますが、年末相場でさらに大きく買われることが期待されます。

デジタル庁関連では、地方自治体向けマイナンバー事業を手掛ける【1447】ITbookホールディングス、大手ITベンダーの【9613】NTTデータなどに注目です。

また、菅政権は2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする目標を掲げるなど、環境政策を成長戦略の一環にする方針を示しています。

環境株は2020年秋に大きく買われていますが、【6937】古川電池や【6996】ニチコンなどのEV関連銘柄、【9519】レノバや【1407】ウエストホールディングスなどの再生可能エネルギー関連銘柄、【8088】岩谷産業や【6331】三菱化工機などの水素関連銘柄に注目しておきましょう。

また、12月14日に管首相の表明があった、年末年始のGoToトラベル一時停止決定により、巣篭り関連銘柄も再注目の動きとなるかもしれません。

年末相場の注意点

年末相場の注意点を抑えておきましょう。

持ち越しリスクが発生する

年末相場の最大のリスクは、大納会から大発会の期間までに最短4日以上の持ち越し期間が発生してしまうことです。

この期間中にイラン問題が発生した2019年の年末相場では、まさにこのリスクが現実化してしまいました。

2020年の大納会は12月30日、2021年の大発会は1月4日となっており、持ち越し期間は最短の4日間です。

ただ、2020年のように何があるかは分かりません。

過去の年末相場を見ると、年始の大納会に保有していたとしても、大発会の寄り付きに特別大きな上昇となったケースはほとんどなく、大発会の寄り付きから買ってもご祝儀相場に乗ることはできました。

このため、持ち越しリスクを最小限とするため、大納会に利益確定してしまい、大発会の寄り付きに買い戻すという投資戦略を取ることもアリと言えるでしょう。

ただ、利益確定することで税金が確定してしまうことには注意しておきましょう。

長期投資をしている場合にはそのまま保有しておくことが賢明です。

大納会には利益確定売りが出やすい

年の終わりである大納会には、機関投資家やヘッジファンドがその年の利益確定するための売りが出やすい傾向にあります。

また、2020年は、実体経済は落ち込んでいる一方で、株式市場は絶好調となっています。

この流れからすると、2020年の年末相場は利益確定売りに押されて大きく下落する展開も考えられます。

少なくとも、「年末相場だからご祝儀相場になる!」と安易に考えるのではなく、株価チャートを見るなどして年末相場に至るまでの相場展開を確認しておくことが重要です。

2020年の年末相場は、相場全体が過熱した状態で突入していくことになります。

年末相場のリスク管理には例年以上に気を付ける必要があると言えるでしょう。

まとめ

今回は、年末相場の特徴や2015年~2019年までの過去5年間の年末相場について振り返った上で、2020年の年末相場の動向や買われそうな銘柄、注意点について解説してきました。

年末相場というと、ご祝儀相場となり買われそうなイメージが浮かびますが、2015年から2019年の直近5年間で見てみるとそうでもありません。

また、ご祝儀相場として買われやすいのは年始の大発会からであり、年末の大納会に向けては利益確定売りが出やすい傾向にあります。

年末相場の最大のリスクは、大納会から大発会に掛けて最低4日以上休場となり、持ち越しリスクが発生することです。

2020年にはイラン問題が大発会を直撃しました。

年の初めの大発会には、その年に期待されるテーマ株が買われやすい傾向にあるため、2021年の大発会には新型コロナワクチン開発関連銘柄や東京オリンピック関連銘柄などが注目されるかもしれません。

ただ、2020年の年末相場は、相場全体が過熱した状態で突入していくことになるため、年末相場のリスク管理には例年以上に気を付ける必要があります。

紫垣 英昭